研究課題/領域番号 |
17K06011
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
有馬 ボシールアハンマド 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (30596549)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水素製造 / バイオ分子 / 光触媒 / グラファイトシリカ |
研究実績の概要 |
今年度はグラファイトシリカ(GS)によるTiO2の水素製造増大機構解明のためにGSの微小化効果について調べた。グラインディングによりGSの粒子サイズが小さくなるほど水素製造が増大することが分かった。GSに含まれる粘土成分が表面に露出して、水素製造量が増加したと考えられる。また、GS/TiO2混合物の水素製造量にバイオ分子であるバクテリアロドプシ(bR)の効果について調べた。bRを加えることでGSの水素製造増大の効果が遮断されると分かった。その理由として、bR分子は-COOH基を使ってTiO2の表面が囲んでしまうのでGSがTiO2と不可欠な凝集が出来ないので水素製造量が減少すると考えられる。この結果は我々が以前提案した機構を裏付けることができる。 得られた結果を用いて研究報告3件、国内学会4件、国際学会1件を発表した。 また、バイオ分子(アミノ酸)であるヒスチジン、フェニルアラニンを含めた硫化カドミウム、バイメタル硫化物の複合体ナノ粒子の合成に成功した。合成したナノ粒子を用いて水素製造を評価したところ、水素製造増大を確認できた。粒子サイズが小さくなり光触媒の表面積が大きくなったことで水素製造量が増加したと考えられる。また、長時間光照射中にも関わらず水製製造の減少がなかったことからアミノ酸により金属硫化物の光腐食の防止効果があると分かった。得られた結果を用いて2件の国内学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイオ分子であるバクテリアロドプシン(bR)は可視光を吸収できるのでGS/TiO2混合物に加えると可視光照射中に効率的に水素製造が可能になると予想したが、bRを加えることてGSの水素製造増大の効果が遮断される事が分かった。また、GSの水素製造増大はTiO2のみの場合が見られるので、GS/TiO2の接触を残したまま可視光を吸収できる材料を加える必要がある。それで、半導体光触媒の構造を少し変えてCdS@TiO2コアーシェール型ナノ材料の合成を進めている。また、水素製造の際に犠牲材として使われるメタノール中にbRの劣化が見られたので、犠牲材がない(水のみの)状態でbRを使用する必要があると分かった。犠牲材アルコールの代わりに海水は同じ働きができると報告があるので、海水にbRを分散し、GS/TiO2あるいはCdS@TiO2コアーシェールナノコンポジットを使って水素製造の実験を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
可視光照射中にGS/TiO2混合物から水素製造の為にCdS@TiO2コアーシェール型のナノコンポジットを合成し、GSの助触媒効果について調べる。また、海水(アルコール犠牲材なし)にbRを分散し、GS/TiO2 あるいはGS/CdS@TiO2コアーシェールナノコンポジットを使って水素製造評価と共に機構解明する。また、これまでの研究で、バイオ分子アミノ酸であるヒスチジンはCdSに含むと水素製造の増加と共にCdSの光腐食防止ができると分かったのでヒスチジンを含んだCdS@TiO2コアーシェールナノコンポジットを合成し、GSの助触媒効果について調べる。さらに、異なる構造のアミノ酸が含んだCdS@TiO2ナノコンポジットを合成し、GS/アミノ酸CdS@TiO2の水素製造の評価を行う。水素製造量及び光腐食防止の比較を行い、電荷分離及び機構について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の国際学会に参加予定だったが、偶然に日本で開催された本研究と関連した国際学会があった。その学会で発表したので旅費が余った。生じた予算は今年度に実験装置の性能向上用為に物品購入等に使用予定である。
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