本研究では、グラファイトシリカ(GS)及びTiO2混合物の水素製造量にバイオ分子であるバクテリアロドプシ(bR)の効果について調べた。bRを加えることでGSの水素製造増大の効果が遮断されると分かった。その理由として、bR分子は-COOH基を使ってTiO2の表面を囲んでしまうのでGSがTiO2と不可欠な凝集が出来ないことで水素製造量が減少すると考えられる。この結果によって我々が以前提案したGSによるTiO2の水素製造増大の機構を裏付けることができた。 また、バイオ分子であるヒスチジン、フェニルアラニンを含めたCdS@TiO2コアーシェール及び硫化カドミウム複合体ナノ粒子の合成に成功した。試料を合成の際、反応溶液として水の代わりにエチレングリコールやエチレンジアミンを使用するとナノサイズの粒子の合成が可能である事が分かった。合成したナノ粒子を用いて可視光照射中に水素製造を評価したところ、水素製造増大を確認できた。特に、バイオ分子/CdSナノコンポジットの場合、通常のCdSより水素製造は48に増加する事が分かった。粒子サイズが小さくなり、光触媒の比表面積が大きくなったことで水素製造量が増加したと考えられる。また、長時間の光照射中にも関わらず水製製造の減少がなかったことからバイオ分子により金属硫化物の光腐食の防止効果があると分かった。得られた結果を用いて特許出願1件(出願中)、国際雑誌論文1報、国内雑誌論文3報、国際学会4件、国内学会4件(内依頼講演1件)の発表を行った。
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