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2019 年度 実績報告書

リチウムイオン電池負極用ナノ炭素/シリコン/熱分解炭素複合材料の合成

研究課題

研究課題/領域番号 17K06022
研究機関愛知工業大学

研究代表者

大澤 善美  愛知工業大学, 工学部, 教授 (80278225)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードリチウムイオン電池 / 負極 / 炭素 / シリコン / CVD
研究実績の概要

令和元年度は、多孔質コア炭素基質へのシリコンコーティング、及びシリコンとパイロカーボンのマルチコーティングについて検討した。昨年度までの研究結果から、900℃で炭素化したセルロース繊維多孔質炭素をコア炭素基質として選定し、流通式のCVD法での四塩化ケイ素ガス系から800℃でのシリコンのコーティングを、プロパンガス系から900℃でのパイロカーボンのコーティングを行った。
コーティングを行った試料の充放電曲線、容量維持率を評価した結果からシリコンのみをコーティングさせた試料では初期容量が613 mAh/g (Si 8.92 mass%)、850 mAh/g (Si 16.4 mass%)となり天然黒鉛よりも高い容量が得られることを見出した。また、シリコンのコーティング後、カーボンをマルチコーティングした試料は、初期クーロン効率80 %以上を示し、シリコンのみをコーティングした試料の約70 %よりも改善されることを明らかにした。これはシリコン表面に蒸着したカーボンが導電性を向上させシリコン利用率を向上させたこと、及びSEIの生成を抑制したためであると推察される。また、シリコンのみを16.4 mass%蒸着させた試料の30サイクル後の容量維持率は、約80 %と高い値を示すことを明らかにした。これは炭素繊維に蒸着させたシリコンが繊維間の空隙内で体積変化を起こし、負極全体としての膨張を緩和し電極体の破壊を抑制したためと考察している。さらに、シリコンを16 mass%蒸着後、カーボンを10 mass%蒸着させた試料は、容量維持率90%程度となり、シリコンのみの試料の容量維持率より高いことを見出した。これは炭素繊維上に析出したシリコンと基材の炭素繊維との間の結着が、カーボンコーティングにより強固になり、充放電によるシリコンの剥離を抑制したためと考察した。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [学会発表] パルスCVI法により熱分解炭素皮膜をコーティングした負極部材炭素の構造及び電気化学特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      谷川達郎、糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      第46回炭素材料学会年会
  • [学会発表] 流通式CVD法を用いて熱分解炭素をコーティングしたSi-黒鉛混合粉体の構造解析及び電気化学特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤風雅、糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      第46回炭素材料学会年会
  • [学会発表] Structural and electrochemical properties of Si/graphite mixed powder coated with pyrocabon using CVD method2019

    • 著者名/発表者名
      Fuga Sato, Hiroyuki Itoi, Yoshimi Ohzawa
    • 学会等名
      2nd International Workshop on Green Energy System and Devices (IWGESD2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] Pyrocabon coating on carbon for negative electrode of the Lithium-ion battery by pressure-pulsed chemical vapor infiltration method2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsuro Hasegawa, Hiroyuki Itoi, Yoshimi Ohzawa
    • 学会等名
      2nd International Workshop on Green Energy System and Devices (IWGESD2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] パルスCVI法を用いた負極部材炭素へのカーボンコーティングと構造及び電気化学特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川達郎、糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      炭素材料学会第57回炭素材料夏期セミナー
  • [学会発表] 流通式CVD法を用いて熱分解炭素をコーティングしたSi-黒鉛混合粉体の構造解析2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤風雅、糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      炭素材料学会第57回炭素材料夏期セミナー
  • [学会発表] パルスCVI法を用いて表面修飾を施した負極部材炭素の構造及び電気化学的特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川達郎,糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      日本セラミックス協会東海支部第58回東海若手セラミスト懇話会(2019年夏期セミナー)
  • [学会発表] 流通式CVD法を用いたSi-炭素混合粉体へのカーボンコーティング2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤風雅、糸井弘行,大澤善美
    • 学会等名
      日本セラミックス協会東海支部第58回東海若手セラミスト懇話会(2019年夏期セミナー)
  • [図書] リチウムイオン二次電池用シリコン系負極材の開発動向2019

    • 著者名/発表者名
      大澤善美,糸井弘行
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1485-3
  • [図書] リチウムイオン電池の分析、解析と評価技術 事例集2019

    • 著者名/発表者名
      大澤善美,糸井弘行
    • 総ページ数
      522
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-770-1
  • [図書] リチウムイオン二次電池用炭素系負極材の開発動向2019

    • 著者名/発表者名
      大澤善美,糸井弘行
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1435-8

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公開日: 2021-01-27  

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