研究課題/領域番号 |
17K06024
|
研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平 靖之 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40369939)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 光触媒 / 希土類 / ペロブスカイト |
研究実績の概要 |
申請者は,希土類であるテルビウムを含むペロブスカイト型酸化物BaTbO3が,可視光照射により光触媒活性を示すことを発見している。本研究では,新規可視光応答型光触媒である希土類含有ペロブスカイト型酸化物ATbO3(A = アルカリ土類)について,試料合成に固相法および液相法を駆使することで試料の結晶構造,化学組成,形態を制御し,未だ解明されていないATbO3の光触媒活性を明らかにし,希土類化合物群における可視光応答型光触媒探索の新たな指針を掲げることを目指している。 平成30年度は,合成方法を再検討したSrTbO3の光触媒活性を調べた。平成29年度は得られたSrTbO3の光触媒活性が予想以上に低く,その合成方法の検討に時間を費やした。溶液法の一種である錯体重合法の合成条件を変化させることで,光触媒活性を向上させることに成功した。目的のペロブスカイト型複合酸化物SrTbO3を合成するために,錯体重合法の合成条件を検討した。いずれの合成条件を用いた場合でも,目的のSrTbO3試料を単相で得ることが出来た。SrTbO3試料の光吸収特性を調べたところ,波長530 nm以下の光を吸収することが分かった。BaTbO3では,波長550 nm以下の光を吸収することが分かっているので,SrTbO3はBaTbO3と同程度に青色LEDの光を吸収すると考えられる。 合成した試料の光触媒活性を調べるために,1 wt%のPt助触媒を担持した試料による50%メタノール水溶液の還元反応により評価した。SrTbO3はBaTbO3と同程度 に青色LEDの光を吸収するため,同程度の光触媒活性が期待された。前駆体の攪拌時間を長くして,加熱温度を下げて,加熱時間を短くすることで,粒子径の小さいSrTbO3試料を得ることができた。粒子径の小さいSrTbO3試料がBaTbO3試料と同程度の活性を示すことを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画ではCa系の光触媒活性についても調べる予定であったが,Sr系の光触媒活性が予想以上に低く,その活性を高めるために,合成方法の検討に時間を 費やした。その面では,当初の計画からは多少遅れているが,錯体重合法の合成条件を変化させることで,光触媒活性が向上させることが出来ているので,総合的にはおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初期待していたよりもSr系試料の光触媒活性が低いために,合成方法の検討を行い,試料の形態制御を試みたことで,触媒活性を向上させることが出来た。そこで,今後もCa系などの他の固溶体試料についても,合成方法を綿密に検討し,高い光触媒活性を示す条件を探る。 さらに,光触媒の活性が低いために控えてきた論文発表についても,結果を検討して積極的に行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
合成に使用する試薬を当初予定していたよりも安価で購入できたため。
|