研究課題
基盤研究(C)
溶液反応で機能性微粒子を合成するとき、原料とされる出発溶液は「目で見て透明」であれば「分子・イオンレベルで均一」とみなされる(誤認される)ことが多い。本研究では「”溶解”とは妖しく怪しい、まさに”妖怪”なり」をスローガンとし、形の揃ったセラミック球状粒子(SiO2, TiO2)を題材として、微粒子生成の舞台となる出発溶液に様々な刺激を与えて得られた微粒子を精査した結果、「目に見えないレベルの不均一」が微粒子の大きさの制御因子となることを明らかにした。
無機材料化学
本研究により、代表的な相溶系である水・エタノールでも微視的不均一があることが示唆された。この成果は材料プロセス/微粒子合成に留めることなく、広く学際的な展開を期待する。本研究で用いられた水・エタノール混合系の経時変化は「酒の熟成」として知られているが、そこにはクラスタ構造の物理的変化以外に化学的な成分変化も伴い、しかも味覚の絶対的数値化は甚だ困難に思える。本研究で実施したのは単なる粒径測定のみで再現性はある。微粒子合成>粒径測定という地味な操作で得られる成果がクラスタ構造の良いプローブとなることを期待したい。