研究課題/領域番号 |
17K06027
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 真平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20362395)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 軟磁性材料 / 相分離 / ナノ結晶 |
研究実績の概要 |
α”-Fe16N2粉体からα-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を合成する基本的なプロセスを確立することを試みた。原料となる大きさ50~60nm程度のα”-Fe16N2粉体は、酸化鉄粉末の水素ガス還元・アンモニアガス窒化により作製した。続いて、得られたα”-Fe16N2粉体を不活性ガス雰囲気下でガラス管に封入した後に、通常の電気炉で所定時間加熱する事により熱処理を行った。熱処理後の試料の粉末X線回折測定を行った結果、幅広い熱処理条件でα-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体が得られることが判明した。しかしながら、得られた試料の磁気特性を測定したところ、熱処理条件によらず飽和磁化が約160emu/gと小さく、更に保磁力も約500Oeと大きい値となり、原料として用いたα”-Fe16N2粉体に何らかの問題があることが示唆された。 そこで、原料として用いた α”-Fe16N2粉体の特性を詳細に評価した。XRDパターン的には単相と見なせる試料であったが、飽和磁化は約165emu/gであった。この値はα”-Fe16N2相の理論飽和磁化値の約70%程度であることから、何らかの不純物が混在している事が明らかになった。また、別途実施したメスバウア測定から、酸化相が30%程度混在していることも明らかになった。原料として用いたα”-Fe16N2粉体は通常の管状炉で合成しており、管状炉からの取出時には大気暴露される問題があった。そのため表面の酸化に由来する特性劣化が起こっていたと思われ、α”-Fe16N2粉体合成プロセスの改善が必要であることが判明した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度にて、α”-Fe16N2粉体からα-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を合成する基本的なプロセスを確立することを目的としていたが、原料として用いていたα”-Fe16N2粉体に問題があることが判明したため、その解決に想定外の時間が必要となった。そのため、当初の目的よりはやや遅れ気味の状況と考えている。しかし、上記したα”-Fe16N2粉体表面が酸化する問題に関してはすでに解決済みであり、現状では表面がほとんど酸化していない上質なα”-Fe16N2粉体原料を入手できる状況を確立している。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、現状では現状では表面がほとんど酸化していない上質なα”-Fe16N2粉体原料を入手できる状況を確立している。今後は上質な酸化フリー原料を用いて、当初の計画通りの実験を継続していく予定にしている。
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