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2018 年度 実施状況報告書

分子集合体ナノコイルの創成と物性評価

研究課題

研究課題/領域番号 17K06028
研究機関東京農工大学

研究代表者

帯刀 陽子  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30435763)

研究分担者 西原 禎文  広島大学, 理学研究科, 准教授 (00405341)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードナノコイル / 螺旋構造 / 電荷移動錯体
研究実績の概要

ナノワイヤは、分子エレクトロニクス実現のための基本的なパーツとしてその開発に大きな関心が寄せられ、デバイス応用に向けての研究が国内外で活発に行われている。また、伝導性の観点から、分子性導体は半導体から金属・超伝導に至る多彩な伝導物性を示すことが知られており、このような特異な物性を生かしつつ、エレクトロニクス等への応用を可能にするために、分子性導体のナノワイヤ・ナノコイルなどへの材料化、更にはデバイス化が強く望まれている。申請者がこれまでに行ってきた、分子設計・有機合成を基盤とした配向性を有する導電性ナノワイヤの研究は一定の成果をあげている。本研究では様々な導電性分子の両端の相互作用を制御することで1次元構造を形成する分子を新規合成し、自己組織能を利用することで直線状や螺旋状のナノワイヤ構造の作製を目指すこととした。
分子性導体にかさ高いキラル分子と水素結合部位を導入することで、非対称な側鎖を付与した分子を合成した。TTF分子をコア部分に導入し、分子の両端に異なる相互作用を有する部位を導入することで螺旋構造を作製した。更に、アクセプターと組み合わせることで導電性を有するコイル構造を作製した。
バルク状態でのナノコイル構造の電気物性を明らかにした。次に導電性AFMを用いてナノコイル1本の電気物性を評価することに挑戦したが、測定条件を明確に定めることができなかったことから、この点については次年度も継続して検討する。ナノコイルの磁気特性は、バルク状態でMicro-SQUID システムを用いて測定した。
以上をまとめると、分子性ナノコイルの基礎物性を明らかにしたが、バルク状態での評価にとどまったため、ナノスケールでの評価に次年度は取り掛かる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、集合状態で高導電性を発現する分子性導体を用い、導電性ナノコイルの開発を行うという内容である。更に、得られた1次元組織体の磁気・電気物性を解明し新規機能性材料の開拓を目指すものである。申請者がこれまでに研究してきた高導電性分子の設計および基板界面制御法を発展させ、動的自己活性化分子性電磁ナノコイルの創成に挑戦した。昨年度までに
①新規有機導電性分子の合成と分子性電磁ナノコイルの構築
分子性ナノコイルを形成する有機導体の合成は完了している。また、この分子を用いてコイル形状に組織化することにも成功していることから、順調に研究は進展している。
②分子性電磁ナノコイルの電気・磁気物性評価
ナノコイルの物性評価についてはバルク状態については完了している。ナノスケールでの評価は、測定方法の確立から取り組む必要があるため途中段階であるが、測定の見通しはたっていることから特に進捗状況には問題はないと考える。

今後の研究の推進方策

今後は、分子性電磁ナノコイルのナノスケールでの電気・磁気物性評価に取り組む。ナノデバイスを作成するには、ナノオーダーでの分子集合化に適した環境を整えることが必須となる。導電性AFMを用いた電気物性評価は、マイカ基板上に作成したナノコイル1本の電気伝導度を測定するが、構造体が壊れないように接触の際の圧力を厳密に検討する。その際、電気物性が測定できるようにチップと組織体の接触はきちんと取れるように注意する。ナノコイルの磁気特性は、Micro-SQUID システムを用いて測定した結果を十分に解析する。併せて、電磁波照射によるコイル由来の誘導電流によるジュール熱を測定し、電磁コイルとしての応答を精査する。更に、作製したナノコイルについて螺旋回転数やピッチを変え、それらに伴う機能性の変化を確認する。

次年度使用額が生じた理由

物性評価について、ナノスケールでの測定が順調に進まなかったため、次年度使用額が生じた。測定条件の見出しに時間を要し、システムの開発まで到達しなかったことが原因である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [国際共同研究] University of Edinburgh(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Edinburgh
  • [雑誌論文] Optimizing Lithium Ion Conduction through Crown Ether-Based Cylindrical Channels in [Ni(dmit)2]- Salts2018

    • 著者名/発表者名
      Katsuya Ichihashi, Daisuke Konno, Takuya Date, Takumi Nishimura, Kseniya Yu. Maryunina, Katsuya Inoue, Toshimi Nakaya, Kazuhiro Toyoda, Yoko Tatewaki, Tomoyuki Akutagawa, Takayoshi Nakamura, Sadafumi Nishihara,
    • 雑誌名

      Chem. Mater

      巻: 30 ページ: 7130-7137

    • DOI

      10.1021/acs.chemmater.8b03027

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Solid-state polymerization of 1,4-bis(hexatriynyl)benzene derivatives2018

    • 著者名/発表者名
      Sasamura, K ; Mizuguchi, K ; Tatewaki, Y ; Okada, S
    • 雑誌名

      POLYMER JOURNAL

      巻: 50 ページ: 1159-1167

    • DOI

      10.1038/s41428-018-0107-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 電荷移動錯体からなる分子集合体ナノコイルの創成と電気特性2019

    • 著者名/発表者名
      岩田 浩輝、岩本 健太郎、西原 禎文、帯刀 陽子
    • 学会等名
      応用物理学会
  • [学会発表] TTF誘導体を用いた1次元組織体の作製2018

    • 著者名/発表者名
      竹井翼、西原禎文、帯刀陽子
    • 学会等名
      応用物理学会
  • [学会発表] 金属配位能を有する分子を骨格としたカプセル状分子の作製と物性評価2018

    • 著者名/発表者名
      岩田浩輝、竹井翼、西原禎文、帯刀陽子
    • 学会等名
      繊維学会
  • [学会発表] 光,電気応答性材料を目指した様々なかご状分子の合成と物性評価2018

    • 著者名/発表者名
      加藤拓、只井桃、西原禎文、帯刀陽子
    • 学会等名
      繊維学会
  • [学会発表] スキャホールドに用いる分子性ナノコイルの物性評価2018

    • 著者名/発表者名
      岩本 健太郎,西原 禎文,帯刀陽子
    • 学会等名
      応用物理学会

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公開日: 2019-12-27  

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