研究課題
本研究では1)高ホール移動度,2)固体での高発光性を併せ持つ酸素架橋V字型およびN字型パイ電子系コアを基本骨格とする。これらについて伝導や光物性に関連する置換基と印刷プロセスに関連する置換基の両軸からの構造有機化学的アプローチにより有機発光デバイス向けの有機半導体材料の創製を行い、有機発光トランジスタ向けの有機半導体材料の分子設計指針を確立する。我々は既に、DNF-V誘導体(Ph-DNF-VW) を設計し、300°C以上の非常に高い耐熱性、固体状態で非常に高い量子発光効率(ΦF=80%)を示し、単結晶貼り付けデバイスはアモルファスシリコンに匹敵する移動度最大(0.70cm2/Vs)を示し、さらに劇的な閾値電圧の減少を明らかにしている。今年度(最終年度)は、以前の研究課題(印刷プロセス可能な高性能有機発光トランジスタ材料の創製:平成26~28年度)および本研究課題を通して蓄積してきた知見を活用して、種々のカルコゲン原子を有したジグザグ形有機トランジスタ材料の合成研究を行った。今年度は、アルキル基、アリール基などを持たない無置換体の合成ルートの開発を行った。合成ルートの選定には、これまでの研究を通して明らかにしてきた知見を盛り込み、高収率で目的化合物が得られる方法を開発した。続いて、これらの化合物を昇華精製し、単結晶構造を明らかにした。興味深いことにカルコゲン元素の種類によって、パッキング構造が劇的に変化することが示された。今後は、これらの無置換体に種々のアルキル基を導入した誘導体の物性の検討を行う予定である。
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