研究課題/領域番号 |
17K06039
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
脇 裕之 岩手大学, 理工学部, 教授 (30324825)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / 遮熱コーティング / 弾性係数 / プラズマ溶射 |
研究実績の概要 |
弾性係数は材料力学パラメータの計算に必要不可欠な重要物性値である.遮熱コーティングは,その組織構造の異方性が原因で,各方向の弾性係数が異なる.しかし,評価が困難なため,弾性特性の決定機構は未解明である.本研究では,溶射過程中に全方向の弾性係数を,その場計測可能な高温共鳴超音波スペクトロスコピーシステムを開発する.そのシステムを用いて成膜過程中のコーティングの弾性係数変化履歴を明らかにし,弾性係数の決定機構の解明を目指す. 2017年度は,共鳴計測システムと組合せ可能な小型低出力プラズマ溶射装置を開発した.また,プラズマ溶射過程中に,基材の共鳴周波数をその場計測可能な3点支持型共鳴超音波スペクトロスコピーシステムを開発し,一定の時間,基材の加振・振動の受信が可能となった. 2018年度は,開発したプラズマ溶射過程中の共鳴計測システムを用いて,主に次の2つの研究を行った. (1)溶射過程中に共鳴周波数群を求めるために,延長ロッドの長さと,振動子の保護方法を最適化した.これらにより,プラズマジェット中で30分以上,基材の加振・振動の受信が可能な計測システムを開発できた.また,溶射過程中の基材の温度履歴を再現性良く評価することができた. (2)耐熱合金コーティングについて,薄膜から厚膜まで連続的に成膜し,各膜厚の成膜直後にプラズマジェット中で,共鳴周波数群を計測し,高温弾性係数のその場評価を行った.振動モードの同定は基材に対して行い,高温成膜中は,基材に対して同定した周波数を追従することで行った.この際,コーティングを等方性材料と仮定し評価した.その結果,成膜直後の高温等方性弾性係数は,薄膜から厚膜まで大きな変化は無く,膜厚依存が小さいことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度における実施計画の主たる部分は,溶射中のコーティングの弾性係数の変化履歴を評価することであり,それが概ね進捗しているため.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は計画通り,数種類の溶射条件で,その弾性係数の変化履歴を評価し,弾性係数の変化履歴と組織構造の関係を考察する.今年度の残された課題として,更なる精度向上のため,低弾性基材の採用による高感度化の検討,を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用残額は,当該年度の直接経費所要額の約2.5%であり,ほぼ計画の範囲で使用している.次年度も計画どおりに,実験を実施するための物品費や,研究発表旅費などに使用する.
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