研究課題/領域番号 |
17K06040
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山口 誠 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (90329863)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 加工変質層 / 材料評価 / ラマン分光法 / 表面分析 |
研究実績の概要 |
近年,マイクロ加工やナノテクノロジーの向上から部品,材料全体に対する最表面の割合が増加している.そのため,これまで無視できていた最表層の残留応力,微小欠陥などが無視できなくなり,表面層の構造評価が求められている.ラマン散乱分光法は,非破壊・非接触,大気中での測定が可能,高分解能という利点を有するが,一般的な可視光励起のラマン散乱分光法では,励起光の侵入長が長く,最表面を測定,評価することは困難である.この問題の解決方法として,励起レーザとして可視光より光の侵入長の短い紫外光を用いること,および,固体試料に金属粒子を形成することによる金属表面近傍の励起光・散乱光の増強という表面増強ラマン散乱(SERS)の2つを組み合わせた深紫外表面増強ラマン散乱に着目した. 令和2年度は,単結晶シリコン基板上の炭素膜,ドライ酸化させたSiO2に加えて,イオン打ち込みを行った単結晶ダイヤモンドの加工変質層への適用もすすめた.シミュレーションから40nm程度のダメージ層が存在することが予想される試料においては,表面ダメージ層の構造評価に取り組んだ.これまでの成果を国際会議にて発表する予定であったが,新型コロナウイルスの感染拡大により,国際会議開催が延期されたため,実施することはできなかった,
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単結晶シリコン基板上の炭素膜,ドライ酸化させたSiO2に加えて,イオン打ち込みを行った単結晶ダイヤモンドの加工変質層への適用もすすめた.シミュレーションから40nm程度のダメージ層が存在することが予想される試料である.これまでに,紫外線照射による酸化およびグラファイト化の様子を実時間で観測することができた.
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今後の研究の推進方策 |
最表層の残留応力,微小欠陥などの表面層の構造評価の要望が求められているため,本研究課題にて取り組んだ手法の適用範囲は広いと考えられ,様々な試料に対して応用を進めていきたい.また,これまでは,真空蒸着法による金属微粒子の形成を行っていたが,より簡便な手法として,溶媒に分散されたナノ粒子の表面塗布などによる形成手法の可能性についても検討を進めたいと考えている.さらに,得られたスペクトルの解析については,シミュレーションを併用するなど,より定量的な知見が得られるよう解析手法を確立したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため,発表予定の国際会議が延長されたため.次年度に発表,論文投稿料に使用予定.
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