研究課題/領域番号 |
17K06041
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
幕田 寿典 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (40451661)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポーラス金属 / マイクロバブル / 超音波 / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
本研究は,研究代表者が有する超音波を用いたマイクロバブル発生技術の液体を問わない長所を生かし,溶融金属中にマイクロバブルを発生させることによるポーラス金属の直接生成の可能性および最適条件の検証を目的としている.平成30年度の研究では,適用金属の融点を上げた環境でのポーラス金属の生成確認と機能検証を中心に研究をおこなった.その結果,平成29年度の研究で用いていた融点78℃の低融点金属から,中空超音波ホーンに冷却水を循環させる冷却ユニットを取り付けることで,融点138℃の低融点金属までポーラス化を達成することに成功した.融点138℃のポーラス金属についても,圧縮試験を行い応力ひずみ曲線の測定をした結果,衝撃吸収特性を有するポーラス金属固有のプラトー領域の形成が確認できており,100℃以上の環境においてもマイクロバブル法によるポーラス金属が生成可能であることが裏付けられた.また、音響管を用いた吸音効果についても計測を始めており,サンプル数はまだ少ないものの中実構造に比べ広い周波数範囲で優れた吸音特性を有していることを確認した. また,初年度の研究において,差込深さを浅くするとポーラス金属ではなく,金属ナノ粒子が生成することが明らかとなっていたが,本年度の研究により,金属ナノ粒子の収量は超音波の振幅に依存し,振幅の増加に伴い収量も増加することが分かった.なお,これらの成果については,国際会議および国内会議においてそれぞれ発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の研究においてポーラス金属の生成がすることが可能となっており、平成30年度では、より高融点の金属でのポーラス化にも成功した。また,ホーンの差込深さを浅くすることによって金属のナノ粒子を簡易に生成する方法についても初年度からの収量増加が達成できており,予想以上の研究成果を残していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状融点138℃の金属までポーラス化に成功している適用金属の範囲を更にあげるべく200℃以上の融点の金属でのポーラス化の可否検討に着手し,ポーラス化が確認された条件で生成したポーラス金属をサンプルとして圧縮試験を行い、プラトー領域の幅・領域の確認・評価を行う.また,音響管を用いた振動吸収特性の計測も行う予定である. また,より多量のポーラス金属の生成にむけてステージを動かしながら広範囲でのフォーム形成およびポーラス化領域の増加を達成できる実験系の構築にも着手する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
吸音率測定を前倒しで開始したため,垂直入射吸音率計測システムのレンタル料など支出が増えたが,高温度処理用超音波分散器が学内設備にて利用可能になったことなどにより,結果としては繰り越しが生じた.本年度は当初の研究計画の予算使途に加え,より高融点の金属や高温環境下で使用で損耗が目立つ超音波ホーンなどの消耗品に本差額を充当する予定である.
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