本研究は,研究代表者が有する超音波を用いたマイクロバブル発生技術の液体を問わない長所を生かし,溶融金属中にマイクロバブルを発生させることによるポーラス金属の直接生成の可能性および最適条件の検証を目的としている.令和元年度の研究では,従来の実験装置に冷却装置を取り付けた新たな実験装置の開発に取り組み平成31年度に確認した138℃を超える融点227℃の低融点金属への発泡確認実験を行った.その結果,フォーム形成によるポーラス化までは至らなかったものの,内部にマイクロオーダの気泡を多数含む金属の生成を確認した.また,金属の含有元素に起因した表面張力の影響も大きいことが明らかとなったため,今後それらの条件を最適化することでポーラス化の成功も十分見込まれる. また,一度の生成量に限界のあるバッチ方式から連続生成処理化することで収量の更なる増加を目指し,本手法における連続プロセス化検討を行った.溶融金属の静置しているステージを移動しながら生成を行なうことで連続プロセス化の検討を行い,結果として中空超音波ホーンの溶融金属への挿し込み角度を設けることで,ポーラス金属の連続生成は可能であることを確認した.その結果,ホーンの金属への差し込み角度・ステージの移動速度など最適化が必要ではあるものの,今後本手法を用いたポーラス金属の大量生成への道筋をつけることができた. なお,これらの一連の成果については,査読付き論文や国際会議および国内会議においてそれぞれ発表を行った.
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