• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

X線応力測定法の粗大粒および微小領域への拡張

研究課題

研究課題/領域番号 17K06046
研究機関新潟大学

研究代表者

鈴木 賢治  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30154537)

研究分担者 城 鮎美 (瀬ノ内鮎美)  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 研究員(定常) (60707446)
菖蒲 敬久  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, サブリーダー (90425562)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード二重露光法 / 粗大粒 / X線応力測定 / シンクロトロン放射光 / 平行ビームX線
研究実績の概要

1) 放射光を利用した二重露光法の開発
当初の計画では,SPring-8の原子力機構専用ビームライBL22XUを利用する計画を予定していたが,当該ビームラインはRI棟に属しており,福島第一原子力発電所の廃炉に関連した重元素分析の実験のテーマが急増し,本研究に利用するビームタイムが確保できない問題が起きた.その対策として,量子科学技術研究開発機構の専用ビームラインBL14B1に実験ビームラインを変更し,研究を実施できるようにした.ビームラインBL14B1は,白色X線を特徴としていることから,従来の単色X線の実験から,白色X線を利用する方法を検討した.また,高エネルギーに対応した検出器の利用についても検討した.以上のことから白色X線に対応した新たな2次元検出器(高エネルギー対応)を開発しているチームの協力を得て研究を実施することにした.二重露光法とCdTeピクセル検出器を組み合わせた応力評価方法を実施した.その結果,ひずみゲージにより測定したひずみ分布と二重露光法により測定したひずみ分布はよく対応した.
2) ラボX線を利用した二重露光法の実施
これについては,ラボX線による平行ビームを実現すべくSi (111)モノクロメータを自作し,イメージングプレート(IP)とステージを利用した二重露光法に測定を実施した.モノクロメータでX線強度が激減する.さらに二重露光法による光路差も生じるために,回折強度不足を改善するための工夫が必要であった.そこで,He雰囲気を利用した取り組みを実施した.その結果,He雰囲気の効果により,P2の露光時間が半分の1時間で測定を完了することができた.回折斑点を利用して応力評価を試みたところ,モノクロメータの効果を明らかにできた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

量子科学技術研究開発機構の専用ビームラインBL14B1を利用し,0.1 x 0.1 mmの白色X線ビームでSUS316L(板厚7 mm)を透過させ,二重露光法を実施した.また,高輝度光科学研究センターの装置グループの協力を得て,開発中のCdTeピクセル検出器を利用した.CdTeピクセル検出器のエネルギーの較正方法の開発,画像処理によるX線エネルギーの識別方法の開発を検討した.CdTeピクセル検出器にPbとWの蛍光X線を照射して波長エネルギーを識別する方法を試みた.このエネルギー較正ではまだ不十分なところが見られるので,より検討を加える必要がある.また,CdTe検出器から得られるビックデータを解析する必要がある.それについては,画像処理をシステマチックに行うツール,システムを開発した.これらの開発環境を駆使して,白色X線を利用した二重露光法による応力評価を実施したところ,方法法で測定されたSU316Lの曲げひずみとひずみゲージにより測定した負荷ひずみの分布が一致した.今後,CdTeピクセル検出器の高精度X線エネルギー較正が期待できる.
ラボX線については,モノクロメータによる平行ビームの作成に成功した.光路長が長いためにビーム強度の低下があり,He環境の実現で一定の改善が得られた.ある程度応力評価ができたが,回折強度の改善が必要である.

今後の研究の推進方策

粗大粒測定の原理については,提案内容で問題のないことが実証された.今後は,精度信頼性の向上を実現することが必要である.エネルギーの較正方法については,多数の用意した波長をCdTeピクセル検出器に入射スキャンさせて,ピクセルのエネルギー較正を実施し,その正当性が保障できるようにする.エネルギー較正した検出器の精度を検定するために,回折環利用したCdTeピクセル検出方法を考える.また,そのための標準サンプルやツールも合わせて開発する.
一方,ラボX線においては,He雰囲気による測定は作業性,経済性などに問題があるので,真空パスの利用と光路の短縮を再検討する.また,試験片を移動させてP1とP2を実現させたが,X線の照射域が変わることで,精度が悪くなることも指摘されたので,IPを移動し,試験片は移動しないようにする.これらのことを配慮して,再度設計を見直すことにする.
二重露光法とCdTe検出器を利用したシステムを構築する.検出器のエネルギー較正,画像処理,斑点抽出などのプログラムを整理し,ホームページにて公表する.

次年度使用額が生じた理由

共同研究者・城鮎美が昨年2018から産育休に入りました.本年2019年9月から復帰して,本研究を遂行する予定にしています.ついては,昨年の予算を未使用にして復帰後に本研究の遂行に使用する予定にしています.

備考

CdTe検出器を利用したひずみ測定のシステムの紹介とツール

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Intergranular Strains of Plastically Deformed Austenitic Stainless Steel2019

    • 著者名/発表者名
      K. Suzuki and T. Shobu
    • 雑誌名

      E-Journal of Advanced Maintenance

      巻: 10 ページ: 9-17

    • DOI

      http://www.jsm.or.jp/ejam/Vol.10No.4/AA/AA149/AA149.html

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stress Measurements of Coarse Grain Materials using Double Exposure Method with Hard Synchrotron X-Rays2018

    • 著者名/発表者名
      K. Suzuki, T. Shobu and A. Shiro
    • 雑誌名

      Materials Research Proceedings

      巻: 6 ページ: 69-74

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.21741/9781945291890-12

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] オーステナイト系ステンレス鋼の塑性変形による微視的残留応力2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木賢治,菖蒲敬久
    • 雑誌名

      材料

      巻: 67 ページ: 708-714

    • DOI

      https://doi.org/10.2472/jsms.68.312

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 二重露光法による粗大粒の応力測定2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木賢治,菖蒲敬久,城 鮎美
    • 学会等名
      日本保全学会第15回学術講演会要旨集,pp. 143-148,2018/7/11,福岡国際会議場
  • [学会発表] 二重露光法による粗大粒の応力測定2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木賢治,菖蒲敬久,城 鮎美
    • 学会等名
      第52回X線材料強度に関するシンポジウム講演論文集,pp. 82-85,2018/7/13,静岡県産業経済会館.
  • [学会発表] Stress measurements of coarse grain materials using double exposure method with hard synchrotron X-rays2018

    • 著者名/発表者名
      Kenji Suzuki1, Takahisa Shobu and Ayumi Shiro
    • 学会等名
      The 10th European Conference on Residual Stresses in Leuven, Kingdom of Belgium
    • 国際学会
  • [学会発表] A new stress measurement for coarse grain materials using hard synchrotron radiations2018

    • 著者名/発表者名
      Kenji Suzuki1, Takahisa Shobu and Ayumi Shiro
    • 学会等名
      The 4th International Conference on Maintenance Science and Technology, Tohoku University, Oct. 10-23-24/ (2018)
    • 国際学会
  • [備考] CdTe検出器ツール

    • URL

      http://kikai.ed.niigata-u.ac.jp/CdTe/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi