本研究では、模擬ボイラ水中に有機酸(ギ酸と酢酸)および典型的な腐食性化学種である塩化物イオンを組み合わせて添加した90℃の試験水における各種腐食試験および試験片の形成皮膜分析などを行い、有機酸が低圧蒸気タービン材料の腐食挙動に与える影響を調査した。塩化物イオン含有ボイラ水中のギ酸および酢酸はブレード材13Cr鋼の孔食等局部腐食の抑制挙動を示した。一方、ロータ材3.5NiCrMoV鋼に関しては、ボイラ水中のギ酸による長時間での腐食を促進する挙動が見られ、酢酸による腐食促進の影響が見られなかった。材料表面の形成皮膜の分析結果に基づき、蒸気タービン材料の腐食挙動に及ぼす有機酸の影響機構を考察した。
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