研究課題/領域番号 |
17K06060
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
楠川 量啓 高知工科大学, システム工学群, 教授 (60195435)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気泳動法 / 圧電セラミックス / 傾斜機能材料 |
研究実績の概要 |
電気泳動堆積法により傾斜機能圧電セラミックスを作製するため,特性の異なる圧電セラミックスの混合割合を変化させながら基板上に堆積させる.このプロセスに用いる2種類の圧電材料としてPNN-PZT(ニオブ酸ニッケル酸鉛-チタン酸ジルコン酸鉛)系リラクサー型強誘電体セラミックスを選定した.すなわち0.55PNN-0.45PZTの組成で比較的圧電定数の大きいA材および0.7PNN-0.3PZTのB材である.両材料のXRD回折を行った結果,A材,B材ともにペロブスカイト型の回折プロファイルを示すが,B材ではこれに加えNb2Pb2O7のパイロクロアピークが出現することが分かった. 電気泳動堆積プロセスにおける最適条件の探索を行った.圧電セラミックス粉をエタノール,アセトンおよびアセチルアセトンの3種類の溶媒中に分散させ,これら溶液中に電極となる銅基板を2枚浸漬させて両電極間に電圧をかけてセラミックス粉を堆積させる.この時ヨウ素を添加することでセラミックス粉の分散性が変化し堆積量もこれに依存することになる.各種条件を変えて堆積量測定を行い,溶媒をエタノールとしてこれに適当な量のヨウ素を添加する最適な電気泳動条件を見出すことができた. この条件を用いて50mlのエタノールに2.5gのA材を分散させた懸濁液から出発し,200V,10分の電圧印可によりセラミックス粉を堆積させた後,同条件のB材を分散させた懸濁液と10mlずつ入れ替えながら同操作を4回繰り返す方法でA材,B材の混合比を徐々に変えた圧電体膜の堆積を行うことに成功した.また,堆積後の材料を焼結し,約1.5mm厚さの傾斜機能圧電セラミック焼結体を得た.A材,B材の混合比が板厚方向で変化することをXRD回折により確認することができた.また分極処理したこのサンプルをモノモルフアクチュエータとして駆動させることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の年次計画における今年度の目標はほぼ達成された.すなわち電気泳動法による傾斜機能圧電体成形プロセス条件の確立,実際の傾斜機能材料の作製および分極処理後の逆圧電効果とアクチュエータとしての動作確認である. 現在での問題点としては,材料中に微小空洞が存在すること,焼成時のひずみが大きくなることなどが挙げられる.前者は通常の加圧成形でないため緻密性に劣ることと,プロセス途中での溶液攪袢によることが原因と考えている.後者については今後,定量的測定も含め検討を要すると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
前項で述べた問題点の検討,解決をはかりつつ,傾斜機能圧電セラミックスの静的強度特性評価ならびに繰返し駆動に対する圧電特性ならびに機械的特性の劣化挙動等を明らかにしていく. 具体的には,20×5 ㎜程度の矩形状焼結体サンプルを作製し,自作の3点曲げ試験機を用いて静的曲げ強度を調査する.強度に及ぼす傾斜機能パターンおよび分極条件の影響を明らかにする.次にインデンテーション法およびSEPB 法を用いて焼結体の破壊じん性値を調査する.EPD 成形により材料に強度異方性が生じることが明らかとなっているが,この異方性に及ぼすEPD条件の影響を明らかにする計画である.
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