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2018 年度 実施状況報告書

結晶方位解析を活用した微視損傷形成モデルの構築とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K06064
研究機関日本大学

研究代表者

杉浦 隆次  日本大学, 工学部, 准教授 (40431522)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード微視損傷モデル / 結晶粒回転 / TypeⅣ破壊
研究実績の概要

平成30年度は,平成29年度で準備した超々臨界圧(USC),および次世代の700℃級超々臨界圧(A-USC)発電プラントを構成する材料であるW添加9-12%Cr鋼,Ni基超合金,Ni-Fe合金およびその溶接継手材を用いた高温クリープ試験を実施した.この試験は寿命比の10%,20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%で途中止めし,結晶方位差(EBSD)解析を行い損傷形成挙動の解析を行った.EBSD解析は,平成29年度に検討した最適条件で,その微視損傷を把握することに成功している.ただし,寿命後半の寿命比である60%以上では,試験片のネッキングにより平成29年度で検討した方法による観察表面条件では良好な計測は行えず,再度,観察試料表面状態と取得データへの影響について検討してきた.以上の結果より,寿命初期から中期にかけて,母材の受入まま材の結晶粒分布とその方位解析と比較すると,損傷導入の前駆課程である結晶粒回転の現実と,その回転方向の傾向を明らかにすることができた.さらに,次世代の700℃級超々臨界圧発電プラントの主力材であるNi基超合金Alloy617の試験片作成に着手し,高温クリープ試験に供する準備を行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は本実験と位置づけ,前年度に材料の調達と試験片の作成,および表面粗さ等の観察試料表面状態および解析範囲やステップサイズ等のEBSD解析条件が取得データへ与える影響から最適な解析条件を見出していたため順調に本実験を行うことができ,有益な試験データを取得できたと考えている.しかし,「おおむね」とした理由は,寿命後半の寿命比である60%以上では,試験片のネッキングにより平成29年度で検討した方法による観察表面条件では良好な計測は行えず,再度,観察試料表面状態と取得データへの影響について検討したため時間的ロスがあり,予定していた本試験の条件全てを完了することが出来なかったためである.一方で,本研究課題は「微視損傷モデルの構築」であるため,寿命初期の損傷形成挙動と結晶方位データは取得できていることから達成目標に影響を与えるものではないと考えている.

今後の研究の推進方策

最終年度では微視損傷形成指標の普遍性の検証実験を行う.具体的に,高温疲労条件,クリープと疲労の相互作用条件,高温衝撃条件,高温引張条件下での損傷誘発試験を実施し,これまでの研究で同定された損傷評価指標の適用範囲と,損傷形成挙動を予測するシミュレータの高精度化を行う.さらに,最終年度ではこれらの過程と結果から,高温微視損傷形成モデルを構築する.またその応用として,溶接継手材を用いた高温クリープ・疲労試験を実施し,多軸応力下で発現するTypeⅣ損傷をターゲットとしたミクロレベルでの劣化および損傷の定量的把握を試みる.

次年度使用額が生じた理由

本年度の実験で使用する予定の試験機において,作動不良が発生しその修理費と検定試験費が発生したため.しかし,本改修により最終年度に実施予定のクリープ・疲労試験の実施が可能となり,この実施のための試験機借用料を低減できることから最終年度の実験は予算計画の範囲内で実施できる見込みである.

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公開日: 2019-12-27  

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