本研究では,長鎖化ポリ乳酸の最適分子構造の検討により,力学特性と加水分解制御機能を極限まで両立し得る,グリーンコンポジット用の究極のマトリックス樹脂を創製する原理の構築を目指して,実験と解析を組み合わせた検討をおこなった.その結果,疎水性側鎖の導入率によって加水分解特性を調整できること,パラ位での光解離性保護基を介した長鎖化によって弾性率低下を抑制できること,長鎖化による弾性率発現メカニズムとして分子鎖同士の極性相互作用などの複雑な相互作用が存在すること,が示唆された.また,分子動力学法と分子軌道計算を併用して,生分解性樹脂の加水分解挙動を予測する分子シミュレーション系をモデル的に構築した.
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