研究課題/領域番号 |
17K06071
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
仲井 正昭 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20431603)
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研究分担者 |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (00309270)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | チタン合金 / 生体材料 / 変形誘起相変態 / オメガ相 / 弾性率 / インプラント |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者らにより開発された弾性率自己調整金属の応用として、力学負荷応答性自己強化金属インプラントの開発の可能性を検討している。このインプラントを実現するための重要な課題の一つとして、外部からの力学負荷による変形誘起相変態の発生の制御が挙げられる。昨年度、弾性率自己調整金属の一つであるTi-Cr-O系チタン合金に種々のひずみ量となるように引張変形を与え、その組織を観察した。その結果、弾性変形領域における変形誘起相変態の発生が認められ、外部からの力学負荷に対して応答するインプラントの実現の可能性があることが示唆された。そこで、今年度は、この知見を踏まえ、弾性率自己調整金属に繰り返し荷重を印加し、その弾性率変化を計測することにより、生体外での弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の検証を行った。印加荷重の大きさに依存して、一部の試験片においては、繰り返し荷重による弾性率上昇の可能性を示唆する実験結果が得られた。ただし、再現性の確認ができていないことから、来年度も本検討を継続して実施することとする。今年度は、さらに、弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の向上を目指して、変形による弾性率上昇量に及ぼす組織の影響についても検討した。その結果、組織制御により、変形による弾性率上昇量を増加させることができる可能性があることが新たに見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の検証として、昨年度までに、静的力学負荷試験により、弾性変形領域における変形誘起相変態の発生が認められていたことから、今年度は動的力学負荷試験による検証を開始した。さらに、今年度、新たに、弾性率自己調整金属の変形による弾性率上昇量を、組織制御により増加させられる可能性を見出した。これらのことから、本研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の検証を実施する。来年度は、今年度から開始した動的力学負荷による弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の検証を継続して実施する。さらに、今年度見出された、変形による弾性率上昇量を増加させる組織制御を適用した弾性率自己調整金属の力学負荷応答性についても同様の検討を実施することとする。
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