研究課題
研究代表者らにより開発された弾性率自己調整金属は、変形誘起相変態により変形部の弾性率が上昇し、非変形部は低弾性率を示す。本研究では、この弾性率自己調整金属の応用として、力学負荷応答性自己強化金属インプラントの開発の可能性を検討した。この金属インプラントの実現には、外部からの力学負荷による変形誘起相変態の発生の制御が重要な課題となる。そこで、昨年度までに、弾性率自己調整金属にひずみ量を系統的に変化させて引張変形を与え、その微細組織を観察したところ、弾性変形領域における変形誘起相変態の発生が認められた。この結果は、外部からの静的力学負荷に対して弾性率自己調整金属が応答することを示唆している。この知見を踏まえ、動的力学負荷に対する応答性を検証するため、弾性率自己調整金属に繰り返し荷重負荷を印加し、その弾性率変化を計測した。その結果、繰り返し荷重負荷により弾性率が上昇することを示唆する実験結果も得られた。一方、生体内における弾性率自己調整金属の力学負荷応答性を検証するため、昨年度に引き続き、今年度も、動物実験方法についての検討を行った。この動物実験では、家兎の大腿骨に人工欠損を導入し、金属インプラントに印加される力学負荷の大きさを変化させるため、人工欠損部の固定に用いるチタン合金製プレートの厚さと種類を変化させた。動物の生存率が低く、再現性についてはまだ十分でないものの、チタン合金製プレートの厚さや種類の違いに依存して、人工欠損部およびその周囲部における仮骨の形成場所に違いが認められた。この結果は、金属インプラント条件を変化させることにより、骨への力学負荷分布が変化し、同時に、金属インプラントに印加される力学負荷の大きさも変化することを示唆している。今後、有限要素解析の併用により、この動物実験方法による生体内での弾性率自己調整金属の力学負荷応答性の検証が可能になると考えられる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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