研究課題/領域番号 |
17K06073
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
片桐 一彰 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (70521277)
|
研究分担者 |
山口 真平 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, その他部局等, 研究員 (40761002)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | CFRP / 複合材料 / セルロースナノファイバー / 炭素繊維 |
研究実績の概要 |
炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化複合材料(=CFRP)は、軽量かつ高強度であり、スポーツ用品、航空機をはじめ、自動車などへの適用が進んでいる。しかし、CFRP成形は困難で様々な成形方法の研究が進んでいる。最も大きな流れは熱可塑性樹脂を適用する方向であるが、熱硬化性樹脂を適用した効率的な成形法はあまりない。我々は炭素繊維の織物を電着液に浸して樹脂を含浸する方法を開発した。電着液に浸漬する織物は、ミシンや刺繍機を用いて三次元形状を織ることもできるため、立体的なCFRPを作製することは容易である。また、同様に、炭素繊維の曲線化も可能であり、成形性が高いことを実証できている。 さらに、電着法で樹脂含浸して作製したCFRPの表面にセルロースナノファイバー(=CNF)を塗布することで、弾性率及び強度が向上することを明らかにした。環境負荷の低減のため、水系溶媒の電着液を使っており、親水性のCNFを疎水化せずに、適用することができた。これらのことについて、いくつかの成形例を作成し、強度評価を行っている。有限要素法による理論解析によって検証を実施中である。 成形例については、強度と軽量性を確保するためには、複雑な立体形状のCFRPを一体成形したいという要求は極めて強いものがある。特に、閉じた構造や真空パックができない構造、プリプレグを積層することが効率的ではない構造である。こういった構造に対し、これまでに提案者らが開発を進めてきた電着による樹脂含浸法は有効である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、薄板のCFRPを試験片として成果を得ており、現段階では、研究は概ねよく進展していると考えている。試験片サイズでの研究を進め、実用化に向けて、様々な形状に対して実証を進める必要があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、電着によるCFRPの製造法を様々な形状のCFRPについて試行し、CNFの効果についても検証を重ねたいと考えている。特に、炭素繊維を曲線に配置する場合、繊維と繊維の距離が広がることは避けられない。セルロースナノファイバーを適用することで、樹脂を強化できるが、炭素繊維をカバーするものではない。どの程度まで適用可能で実用的なのかを実証し、確認する必要があると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
セルロースナノファイバーの適用によってCFRPの強度が向上したが、当初想定した以上の効果があたっため、その確認に時間を要した。形状を変えた場合など、適用事例を増やして検討を深め、成果の発信に努める予定である。
|