研究課題/領域番号 |
17K06090
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
日比野 浩典 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 准教授 (70598359)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生産システム / IoTエネルギ消費モデル / シミュレーション / 最適化 |
研究実績の概要 |
本研究では、生産ラインにおける単位製品あたりのエネルギ消費量(製造エネルギ原単位)を最小にするためのシミュレーション手法および数理的最適化手法を開発し、製造エネルギ原単位の観点から生産システムの最適化を図る。 平成29年度は、IoT環境下の生産設備のエネルギ消費を取得および利用するための設備状態遷移に基づくエネルギ消費モデルの開発、および、シミュレーションシステムの提案と実装を行った。具体的には、生産設備の状態と状態遷移の関係を明らかにし、設備状態と消費エネルギの関係の把握するIoTエネルギ消費モデルを開発した。IoTエネルギ消費モデルは、「設備状態と状態遷移の定義」および「設備状態と消費エネルギの関係の定義」で分類した。 「設備状態と状態遷移の定義」については、代表的な設備である工作機械、産業用ロボット、および、半導体製造工場に導入されているはんだリフロー設備など主要設備を対象とした。生産設備の状態は、立ち上げ状態、アイドル状態、稼働状態、故障状態、立ち下げ状態の5つの状態で分類した。それぞれの状態はサブ状態を保有する。 「設備状態と消費エネルギの関係の定義」については、実機の5つの状態の消費エネルギ量についてのモニタリング情報を用いて、設備状態Snの消費エネルギ量ESnを、状態開始時刻をtn-1、状態終了時刻をtn、時刻tにおける消費エネルギをPSn (t)として、時刻tにおける消費エネルギPSn (t)から、その設備状態における消費エネルギ量を算出可能になるように、開発した。 IoTエネルギ消費モデルを、シミュレーションシステムに実装した。このシステムは、時刻の進行に伴う設備状態変化の模擬機能、評価時間分割単位によるスループット量を含む生産性情報を時刻付きでの生成機能、および、評価時間分割単位による消費エネルギ情報を時刻付きでの生成機能の3つの機能を有する構成とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度に計画していたIoT環境下の生産設備のエネルギ消費を取得および利用するための「設備状態遷移に基づくエネルギ消費モデルの開発」、および、「シミュレーションシステムの提案と実装」について、開発が完了した。シミュレーションシステムは、IoTエネルギ消費モデルを実装済であり、かつ、「時刻の進行に伴う設備状態変化の模擬機能」、「評価時間分割単位によるスループット量を含む生産性情報を時刻付きでの生成機能」、および、「評価時間分割単位による消費エネルギ情報を時刻付きでの生成機能の3つの機能」を有している。 H30年度に計画している製造エネルギ原単位のロットサイズ依存性については、一部、評価を開始している。また、関連技術の調査として、IEEE主催の国際会議IEEM201に参加し、調査を行った。 一部の研究成果を国際会議、国際シンポジウム、日本機械学会で講演を行った。具体的な学会名称を以下に記す。国際会議LEM21(The 8th International Conference on Leading Edge Manufacturing in 21st Century)、国際会議IFAC(The 20th World Congress of the International Federation of Automatic Control)、シンポジウムMATE「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」、日本機械学会生産システム部門講演会。
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今後の研究の推進方策 |
以下に、H30年度、H31年度の計画を記す。平成30年度の研究計画は、(1)シミュレーションシステムによる生産ラインの様々な条件による製造エネルギ原単位の傾向分析・評価 平成29年度に開発したシミュレーションシステムを、仮想的実データの生成システムとして捉え、様々な生産変動要因による生産システムの変動の傾向分析・評価を行う。平成30年度は、ロットサイズの変化と製造エネルギ原単位との関係性について、傾向分析・評価を行う。 (2)製造エネルギ原単位の傾向分析・評価に基づく数理的手法の開発 IoTエネルギ消費モデルの状態や状態遷移に基づく消費エネルギの定式化、および、生産設備間のものの流れに基づく定式を行い。それらを統合化して生産量と消費エネルギ量を関係させる定式を行う。 平成31年度の研究計画は、2項目。(1)シミュレーションシステムによる生産ラインの様々な条件による製造エネルギ原単位の傾向分析・評価、(2)製造エネルギ原単位の傾向分析・評価に基づく数理的手法の開発
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は以下の2点で、それぞれの使用計画を記す。 ・当初調査対象の国際会議に時間的に参加できず、H30年度に調査を行うことにし、旅費費の支出に差が生じた。 ・当初購入予定のシミュレーションシステムのための計算機につきまして、シミュレーションシステム機能の動作と確認においては既存の計算機で可能であったため、H30年度に購入することにし、その他の支出に差が生じた。
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