研究課題/領域番号 |
17K06098
|
研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
加藤 友規 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (20390429)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 超精密位置決め / 電空ハイブリッド / バランスシリンダ / 圧力制御 |
研究実績の概要 |
工作機械の鉛直軸の位置決め方式の1つとして、電動駆動のリニアモータと、重力補償器として空気圧式のバランスシリンダを併用した、電空ハイブリッド方式の超精密鉛直位置決め装置が開発されている。電空ハイブリッド方式は空圧式のバランスシリンダがステージの自重を空気によってキャンセルすることで。電動のリニアモータがステージの自重の影響を受けることなく動作することが可能となっている。このような構成を用いることで、リニアモータの省電力化や熱の発生の抑制、最大動作速度の向上といった効果を期待することができる。 本研究課題においては、空気圧サーボの制御技術を応用して、超精密工作機械に使用される電空ハイブリ ッド方式の超精密鉛直位置決めステージ(電空ハイブリッド鉛直ステージ)の高機能化のための方法を提案することを目的とする。 平成29年度の研究においては、まず、気体用高速高精度圧力制御システムの改良のための構成の見直しを行い、基礎的な性能試験を行った。次に、電空ハイブリッド方式のさらなる性能向上のため、特に工作機械のツールチェンジ時の内圧制御に着目し、制御方法の検討を行った。実際の工作機械においては、ツールの有無や種類によりステージ全体の重量が変化するが、電空ハイブリッド方式においては、そのツールチェンジのたびに、シリンダ内圧を最適圧に調整する必要がある。一般的には減圧弁のハンドル部分を手動やモータで回して調整を行うが、圧力が整定するまでに時間を要してしまうなどの問題がある。そこで平成29年度の研究では、気体用高速高精度圧力制御システムを用いてバランスシリンダ内の圧力をフィードフォワード制御することにより、任意のステージ重量に対応可能な制御方法を提案した。その有効性について、非球面加工機用の電空ハイブリッド鉛直ステージを用いて、評価する試験を行い、有効性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、気体用高速高精度圧力制御システムの構成を見直し、大振幅や高圧領域の空気の圧力を高精度に制御できるように装置構成を見直した上で、電空ハイブリッド鉛直ステージに使用されるバランスシリンダの内圧制御に適用し、位置決め性能・消費エネルギーなどの基礎的な特性を評価することを目的としている。 研究計画のうち、気体力高速校制御圧力制御システムについては、更なる装置構成の改良と性能の実証実験が必要である。提案方法の電空ハイブリッド鉛直ステージへの適用と性能の評価実験については、計画通り実験を開始している。総じて、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
気体用高速高精度圧力制御システムの構築と性能評価については、平成30年度も引き続き、装置構成の改良と性能の実証実験を行う。 提案方法の電空ハイブリッド鉛直ステージへの適用と性能の評価実験については、平成29年度中から開始できている。 提案方法を超精密非球面加工機へ適用しての評価実験と加工実験については、平成30年度中に各方面との調整を行い、平成31年度頃に計画通り実施できるように、準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
気体用高速高精度圧力制御システムの改造・構築用の部品並びに電空ハイブリッド鉛直位置決めステージの試験に用いる測定装置類について、一部未購入のものがあるのと、消耗品費について、大学から別予算の手当てがあったため、生じた次年度使用額である。研究自体はおおむね順調に推移しており、平成30年度に執行する予定である。
|