本研究では,水平き裂を誘導する過程で発見した熱源前方の引張応力による鉛直き裂の進展現象を利用して,ガラスを非接触ドライ割断できる条件の検証を行った. その結果,レーザ照射が1点の場合は,その引張応力場の領域が狭く,さらにその前方に圧縮応力場が存在するため,レーザ進行方向における反りの発生率が高いことが明らかになった.そのため,熱源を進行方向に2点配置し,前方熱源の後方に発生する広い領域の引張応力場と,後方の熱源前方に発生する最大値が高いが狭い領域の引張応力場を重複させる条件で実験と解析を行った.その結果,反りの発生率は減少し,レーザ出力30Wに対し100mm/sのドライ割断に成功した.
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