研究課題/領域番号 |
17K06105
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研究機関 | 秋田県産業技術センター |
研究代表者 |
中村 竜太 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 主任研究員 (00634213)
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研究分担者 |
赤上 陽一 秋田県産業技術センター, その他部局等, 所長 (00373217)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 撹拌 / 電界 / 電界撹拌 / 電界撹拌技術 / シャーレ / 細胞培養 / 培養細胞 / ヒト培養細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き3次元撹拌と2次元回転を融合させた撹拌を実現するための最適容器設計及び電極形状、電界印加方法の検討を行った。 昨年度は電界撹拌が可能となる容器を独自に設計し、プラスチック成型によって製作し、閉鎖系で撹拌が行えるようにするため銅プレート電極をインサートした容器の蓋も製作していた。さらに、スイッチング回路によって、任意の電極部に電圧を印加できるPCで制御可能な高電圧スイッチング装置を開発した。このシス テムによって電圧を印加する部位が右回り又は左回りに回転するように切り替えを行うことが可能となった。 しかし、今後の再現性、簡便性、汎用性を考慮しすると、市販のシャーレ、さらにはスイッチング回路を用いない方法で、3次元撹拌と2次元回転を融合させた撹拌を可能にさせるセットアップ、条件を今年度は検討した。まず、細胞培養はシャーレを恒温、恒CO2濃度のインキュベーションチャンバー内で行うため、比較的コンパクトな電界撹拌セットアップを構築した。その後、数社で市販されているシャーレを用いて電界撹拌が行える条件検討を行なった。 今年度からヒト女性由来の培養細胞であるHeLa細胞の培養系を構築し、電界撹拌技術を生きた細胞に導入する実験を行った。生きたヒト培養細胞に対して、48時間以上電界撹拌を行い、その後の細胞の様子を観察し、さらに死細胞の割合の増減を調べた。この実験の結果から、電界撹拌によって、培養細胞が大きな影響を受ける可能性が低いということが見出された。また、細胞培養工程へ導入する前に、まず電界撹拌技術をヒト培養細胞の免疫染色系に導入した。結果として、ヒト培養細胞の染色においても、電界撹拌技術を用いることによって染色時間を短縮することが可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インキュベーションチャンバー内で行うため、比較的コンパクトな電界撹拌セットアップを構築した。その後、数社で市販されているシャーレを用いて電界撹拌が行える条件検討を行ないことができた。さらに、細胞培養環境を構築させ、来年度から本格的に、細胞培養工程に電界撹拌の導入実験を行える体制を整えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度再開発した電界撹拌セットアップ、市販のシャーレを用いて、液滴に上下の振動だけでなく、回転運動を生じさせ、効率よい撹拌を可能とした淀みの無い撹拌を実現するため、 電場条件における液滴挙動をマクロ的・ミクロ的視点から解析し、電場条件による挙動のメカニズムを究明し、最適電界条件の検討を行う。さらに、細胞培養工程へ電界撹拌を導入し、静置培養状態と比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予算のうち旅費をあまり使用しなかったためである。来年度は対外発表や技術調査のために有意義に使用していきたい。
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