研究課題/領域番号 |
17K06109
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
浜口 和也 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (20470239)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロニードル / エンドミル / 摩耗 |
研究実績の概要 |
糖尿病患者などへの薬剤投与において、従来の注射針による投与には、痛みが伴う、医療従事者による針刺し事故が発生するなどの問題がある。これらを防ぐために、高さ、幅ともに1mm以下の円錐状の微細針を剣山のように数百本も並べた、樹脂製マイクロニードルアレイについて研究開発が進められている。表面に薬剤を塗布し皮膚に押し付けるだけで体内に投与できるため、注射針のような痛みは生じないが、数百本もある微細針が皮膚を損傷させるという問題がある。皮膚への損傷を抑制するには、微細針1本当たりの薬剤保持量を増やして、微細針の本数を減らすことが必要不可欠となる。これにはマイクロニードルアレイ金型の表面に凹凸を付与することが有効であるため、マイクロエンドミルを用いた微細形状加工について取り組んだ。金型材は、樹脂の中でも硬度が高く、医療分野をはじめ幅広く用いられるアクリルである。使用したエンドミルは直径が0.2mmであり、工具材種は超硬合金、CBN、多結晶ダイヤモンドである。主軸回転数を毎分40000回転とし、送り量を0.005mmとして、ステップを与えながら切削加工実験を行った結果、コーティングを施した超硬合金製エンドミルが最も良好に形状を転写できていた。さらに、超硬合金製エンドミルの切れ刃数が形状精度に及ぼす影響についても検討するため、1枚刃および2枚刃エンドミルを用いて比較実験した結果、2枚刃エンドミルの方が摩耗を低減でき、高い形状精度が得られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり種々のエンドミルを用いた切削加工実験を実施し、摩耗特性、加工面性状等を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は表面に凹凸を付与することにより表面積を増大させたマイクロニードル用金型を開発し、その金型を用いた成形を実施する。マイクロエンドミルの切れ刃形状および移動経路を変化させることにより、さまざまな凹凸形状を有する金型の加工に取り組む。成形に使用する材料は生分解性樹脂を予定しており、金型の寸法と成形後の針形状の寸法について比較測定し、成形に適した金型形状等について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実験に使用した工具は、市販の標準エンドミルであり、予備実験においても折損等がなかったため費用を抑えることができた。工具材種についても比較的安価なものを使用したが、今後は金型の仕上げ加工に用いる単結晶ダイヤモンドエンドミルや、特殊な切れ刃形状をもつエンドミルを購入する予定である。このほか、樹脂成型を実施するための簡易成型機、成形用樹脂等の購入を予定している。
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