研究課題/領域番号 |
17K06109
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
浜口 和也 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (20470239)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロニードル / エンドミル / 摩耗 |
研究実績の概要 |
マイクロニードルは複数の円錐状微細針から構成されるため、各微細針を同じ形状にする必要がある。これにはマイクロテーパエンドミルの摩耗抑制が不可欠であることから、切れ刃形状や切削条件が摩耗に及ぼす影響について検討した。 はじめに、エンドミルの先端角が摩耗に及ぼす影響を調べるため、先端角を30~60°まで変化させて、深さ0.5 mmの止まり穴を切削加工した結果、先端角を小さくするにつれて逃げ面摩耗が低減することがわかった。しかし、先端角が小さいものほど欠損が生じやすいため、その抑制方法についても検討したところ、1刃あたりの送り量を小さくすることが欠損抑制に有効であることがわかった。例えば、先端角30°のエンドミルでは、1刃あたりの送り量を10 nm以下にすることによって欠損を発生させることなく切削することができた。 次に、主軸回転数が摩耗に及ぼす影響について調べるため、主軸回転数を毎分4~12万回転で変化させて、深さ0.3 mmの止まり穴を加工した。このとき欠損の影響をなくすために先端角60°のエンドミルを用いた。その結果、円錐の斜面切削に関与する切れ刃の摩耗形態と、最先端部における摩耗形態とが異なることがわかった。斜面切削に関与する切れ刃では、切れ刃先端部から離れるにつれて摩耗は増大し、最大逃げ面摩耗が発生する位置は主軸回転数に関係なく一定となった。その箇所における最大逃げ面摩耗は主軸回転数を増加させることで低減できるが、最先端部における摩耗は主軸回転数とともに増大する。このため、マイクロニードル用金型の切削加工には主軸回転数の検討が重要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロニードルを安定して成形するには円錐状微細型の高精度化が必要である。それを実現させるためのマイクロテーパエンドミルの摩耗低減に期間を要したため樹脂成形まで実施できなった。
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今後の研究の推進方策 |
表面の凹凸を変化させたマイクロニードルを成形し、穿刺試験および薬剤保持量の測定を繰り返し実施することにより、穿刺抵抗が少なく、薬剤保持量が多いマイクロニードル形状を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
樹脂成形を実施できなかったことが主な理由である。今後は、金型作製用エンドミルをはじめ、成形用樹脂および穿刺試験用材料などを購入する計画である。
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