研究課題
本年度は,品質の中でも特に外観や強度に影響を与えるウェルドライの抑制に焦点を絞り,ウェルドラインの抑制を狙いつつサイクルタイムも短くするようなプロセスパラメータの多目的最適設計に取り組んだ.プロセスパラメータの中でも特に,ウェルドラインに影響を与えるものとして,溶融温度や射出速度,保圧力,金型温度があるが,特に射出時間中に射出速度を変化させる可変射出速度による成形法を重点的に研究した.射出速度が高いとウェルドラインは抑えられるが溶融樹脂が充填しないショートショットが発生し,射出速度が低いとショートショットは抑えられるがウェルドラインは長くなる.このトレードオフの関係に着目し,はじめに高い射出速度で成形し,徐々に射出速度を低くすることでショートショットを抑える可変射出速度プロファイルによる成形法を考えた.しかし,そのプロファイルは不明であるため,ウェルドラインとサイクルタイムを目的関数として考え,可変射出速度プロファイルに加え,いくつかのプロセスパラメータを設計変数とし,ショートショットを制約条件として扱い,多目的最適設計問題として定式化した.そして,逐次近似最適化を用いてパレート最適解を同定した.シミュレーションで得られた結果の妥当性を検証するため,実験を行った.その結果,可変射出速度による成形法は,ウェルドラインの抑制に効果があることが判明した.同時に,複雑水管を用いた場合,部品を一様に冷却できることが判り,サイクルタイムの抑制に効果があることがわかった.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing
巻: 14 ページ: 1-10
jamdsm.2020jamdsm0029
International Journal of Advanced Manufacturing Technology
巻: 103 ページ: 1735-1744
10.1007/s00170-019-03685-3