ソフトロボットの利便性向上に寄与する空気圧人工筋の高機能化に関する研究を実施した。強化繊維を網目状に編み込むことで構成されるMcKibben型人工筋、強化繊維を軸方向に配置することで構成される軸方向繊維強化型人工筋の両タイプの人工筋に関して高機能化を実現している。これらの人工筋は製紐(せいちゅう)機を用いることで簡易なプロセスで製作できる。今年度の実施概要は下記となる。 ①収縮型スマート人工筋の制御:強化繊維の一部を光ファイバで構成することで変位センサ機能を有するMcKibben型人工筋を製作している。人工筋の収縮動作にともなって生じる光ファイバでの曲げ損失を計測することで人工筋の収縮量が計測可能である。フィードバック制御系を構築し、人工筋の変位量のサーボ制御を実現した。 ②湾曲型スマート人工筋の構造開発:McKibben型人工筋は、その一側面を強化部材で拘束することで湾曲動作が実現される。その強化部材として光ファイバを用いることで湾曲量がセンシング可能な人工筋を製作した。製紐機では組紐(くみひも)状に繊維を編み込みながら軸方向に繊維を組み込むことが可能である。この機能を適用することでMcKibben型人工筋の製作プロセスと同工程数で湾曲型スマート人工筋が製作可能であった。また、基礎実験から光ファイバの曲げ損失と湾曲量に相関がみられることが分かった。 ③形状記憶ポリマーを用いた高機能人工筋:形状記憶ポリマー(SMP)を強化繊維として複合することで、様々な動作形態を実現する人工筋が実現できる。SMP繊維を自動製作するプロセスを開発し、製作した繊維を製紐機に適用することで、SMP繊維を有するMcKibben型人工筋と軸方向繊維強化型人工筋を実現した。単一の人工筋で収縮・捻じり・湾曲など複数の動作が実現可能であることを確認した。
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