研究課題/領域番号 |
17K06122
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
若林 利明 香川大学, 創造工学部, 教授 (00294736)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境対応 / トライボロジー / ニアドライ加工 / 難削材 |
研究実績の概要 |
チタン合金といった難削材のニアドライ加工に適合する高性能な油剤を開発するとともに、難削材の加工に最適な複合ニアドライシステムの提案を目的にしている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。 エステル、アルコール、脂肪酸といった含酸素化合物の中で、アルコールは、チタン合金の金属新生面に対して最も高い吸着活性をもち、そこに強く吸着することで潤滑効果を発揮するという昨年度の検証結果を踏まえ、本年度は、その潤滑効果について、油性領域および極圧領域における基礎的トライボロジー挙動を再検討した。この検討で求めた摩擦係数から、チタン合金に対する含酸素化合物の摩擦特性は、油性と極圧いずれの領域でもアルコールが最も良好と判断され、アルコールの高い吸着活性にもとづく摩擦低減効果がニアドライ方式のMQL加工における良好な切削性能をもたらした、との推測を裏付けることができた。 一方、昨年度に改良が完了した複合ミスト供給装置を用い、これまで実施してきた連続切削ではなく、本年度は断続切削に適用範囲を広げ、チタン合金のニアドライ加工における切削性能を調べた結果、冷却効果に優れるクーラントミスト加工に比べ、その効果に劣るMQL加工の方が、断続切削時の工具刃先への熱衝撃を抑制し、工具寿命をより延長できると判明した。 なお、本研究の一部成果によって、研究補助者の修士2年生(氏名:磯﨑紘哉)が、2018年度精密工学会中国四支部香川地方学術講演会ベストプレゼンテーション賞(受賞日:平成30年10月27日)と平成30年度軽金属学会中国四国支部奨励賞(受賞日:平成31年3月3日)を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チタン合金に対する含酸素化合物の摩擦特性は、油性と極圧いずれの領域でもアルコールが最も良好と判断され、アルコールの高い吸着活性にもとづく摩擦低減効果がニアドライ方式のMQL加工における良好な切削性能をもたらしたことが見出されている。さらに、クーラントミスト加工が有効な連続切削とは異なり、断続切削の場合、チタン合金のニアドライ加工としてはMQL加工の方が工具寿命をより延長できることが実証されている。
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今後の研究の推進方策 |
チタン合金等の難削材のニアドライ加工に対して、さらなる効果を発揮する化合物を探索し、これら化合物の併用によって油剤を高性能化するとともに、改良した複合ミスト供給装置を用いて、難削材の加工に最適な複合ニアドライシステムを提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予算計画にしたがって適切な使用をした結果として生じた残額について、当該年度で無理に使い切ることはせず、会計上可能な繰越処理とする選択をしたため。 (使用計画) 次年度使用額として生じた繰越額については、当初計画と同様、消耗品購入費等にあてる予定である。
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