打抜きリベット締結法は、リベット穴をあけるためにリベット軸で板を打ち抜く過程とリベット軸を太らせてリベットホルダーの穴に満たして締結する過程からなる。締結した継手の強度や信頼性を高めるために打抜き過程でCFRPに生じる層間剥離などの損傷を抑制することが課題となっている。本年度は、CFRP板とアルミニウム合金板を衝撃荷重で打ち抜く方法の検討と従来の静的荷重を用いて作製したCFRP/アルミニウム合金継手の疲労現象について検討した。 CFRPの打抜き穴周辺に生じる損傷の抑制を目的として、CFRP板を打ち抜く際にたわませずに瞬時に打ち抜くため、自由落下する錘をリベットに衝突させて打抜きと締結を行えるように落錘式衝撃試験機を用いて継手の作製を行った。作製した継手ではCFRPの損傷が生じるとともに強度は低下した。継手強度の低下はリベット締結過程の終了まで衝撃荷重を維持できず、板を締め付ける座面圧力が不足したと考えられる。したがって、CFRPの損傷の抑制のため、衝撃試験用のリベット形状の検討と高い座面圧力が得られるように衝撃荷重を持続できる錘形状の検討も必要なことが明らかになった。 打抜きリベット継手の疲労現象についても詳細に検討した。評価のために、打抜き過程でCFRPの穴周辺に損傷が生じないように機械加工で穴あけして作製した継手との疲労寿命の比較を行った。得られた疲労寿命はほぼ同じであった。また打抜きリベット継手の破壊形態については、高負荷での疲労試験では、継手のリベット締結部に曲げ荷重が作用してリベット頭部が破壊し、それに続いてCFRP板が破断した。低負荷時では、A6061板の打抜き穴周囲に生じたき裂が進展して破断した。これらのことから、CFRPの打抜き穴周囲の損傷は継手の疲労強度へほとんど影響せず、損傷からのき裂進展は高い座面圧力により抑制できることが明らかになった。
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