本研究では,ゴルフクラブの快適性推定式の構築を目的とし,人体の動作の観点から,クラブの違いによるスイング動作の変化について検討した.数種類のゴルフクラブを用いて,実験協力者にスイング動作をしてもらい,その運動を計測し,特徴のある行動を探すことを試みた.モーションキャプチャカメラが100FPS(FPS=Flame Per Second.1秒当たりの撮影数)を用いていた結果に比べて,新規に導入した240FPSのカメラでは,速いクラブの運動を撮ることができたため,クラブ先端の運動も計測できるようになった.これにより,ゴルフクラブと腕の相対角度などの情報を詳細に調べることができた.また,スイング動作の結果にあたるボールの軌道やぶれ角との比較を行い,有用な結果を得た.さらに,クラブ内のひずみを計測可能なクラブセンサを用いて腕の内部トルクの推定を行った.この結果からスイング中の上半身の特定の動きがゴルフクラブの特性に応じて変化することを発見した.この特徴は,ゴルフクラブとプレイヤのマッチングを調べる上では重要な知見であると考える.この内部的な人間の力の発生メカニズムを元に,個人に適したクラブを選定する際の評価指標に対して標準偏差の和が有効であることを検討した.この検討では,部活動などでゴルフ経験がある被験者に対して分析を行い,様々なクラブを用いることにより,身体の応答は異なることがわかり有用な知見を得た.
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