本研究は,公差解析に関する学術を広く調査・収集して体系化し,その過程で全体を俯瞰して不足点を補い,公差解析を学術として発展させることを目的とした. 文献調査では,アメリカを中心として,ドイツ,フランスなどの文献を調査し,実地調査としてはアメリカ・ポートランドまで赴き,幾何公差と公差解析の関係を調査した.また,ソフトウェアの調査としては,主要な公差解析ソフトの講習会に赴くのはもちろん,その中から,3種類のソフトウェアを期使用して現状のソフトウェアの発展の様子を調査した. 調査の過程で公差解析として,明らかになっていない「がた」の定式化を行い,論文等で発表を行い,公差解析解析に関わる全体像を設計工学会の日本設計工学会2021年度 春季研究発表講演会のフォーラムにて講演し,さらに設計工学会誌の5月号で特集を組み,この特集での解説記事が,同学会のMost Interesting Reading賞の評価を得た. さらに,研究調査の過程で,用語の統一を行い,これが,JIS B 0625:2020 公差解析用語として制定されたり,エンジニアの研修用のワークブックとして,「公差設計スキル認定試験「3級・4級」対応 公差設計ワークブック」を出版した. 本報告後の出版となるが,本研究で得られた成果をまとめた「幾何公差と公差解析」をテーマにした書籍を出版する予定であり,現在校正中である.さらに,日本設計工学会研究調査部会の分科会より,無料の動画教材として得られた成果を公開することが決定している.
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