研究課題/領域番号 |
17K06134
|
研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小林 隆志 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10161994)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ガスケット / フランジ締結体 / 漏えい / 高温 / 複合荷重 |
研究実績の概要 |
化学プラントなどで使用される配管系のガスケット付きフランジ締結体は,高い内圧と高温の温度条件下で使用される。フランジ締結体では,温度変化による配管の熱膨張・収縮による配管軸方向の荷重に加えて,自重や地震などによる曲げ荷重も考慮する必要がある。本研究では,次の点について研究することにより,温度とともに配管外力を考慮したフランジ締結体の管理方法を開発し,フランジ締結体の安全性向上に寄与することを目的としている。 【(1) 高温におけるガスケット特性試験】 現有の高温ガスケット試験装置を用いて,PFTE(四ふっ化エチレン)系ガスケットを対象として,変形特性測定を実施した。PTFE系ガスケットは温度が上昇すると軟化してフランジ面間を流動することが明らかにした。 【(2) 配管試験体の複合荷重負荷試験】 この試験装置の特徴は,材料試験機などの大がかりな設備を使用することなく,簡易な油圧シリンダーを利用した負荷装置により,配管試験体に,引張りと曲げの複合荷重を作用させることができることである。試験装置の改良により,安定して外荷重を作用させることができるようになった。。試験体からの漏えいを,マスフローメーターを用いて高い感度で計測する方法をテストし,その有効性を確認した。 【(3) フランジ締結体の漏えい開始の推定方法の確立】 ガスケット付きフランジ締結体の力学系に含まれるボルト,フランジ及びガスケットの熱膨張及び力による変形を考慮して,温度条件を考慮したフランジ締結体のボルト軸力の推定のための簡易モデルの検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度実施予定であった, (1) 高温におけるガスケット特性試験,(2) 配管試験体の複合荷重負荷試験,及び(3) フランジ締結体の漏えい開始の推定方法の確立の3点について,全体としては,やや遅れ気味の実施状況である。 (1) 高温におけるPTFE系ガスケットの試験では,変形特性は把握できたが,微少漏えい特性の測定に問題がある。ヘリウムリークディテクタを使用した測定を検討する。ガスケット種類の影響を検討するために,うず巻き形ガスケットの試験も引き続き実施する予定である。 (2) 配管試験体に対して,安定して引張りと曲げの複合荷重を作用させられるように複合荷重負荷装置の改良を行った。感度のよい漏えい開始判定のため,測定系の設計・製作を行った。試験環境は整いつつあるので,加熱可能なステンレス製の配管試験体が完成し次第,試験データの取得にかかる。 (3) 簡易モデルによる漏えい判定方法はほぼ確立している。フランジ締結体の有限要素解析をまだ実施できていないので,有限要素解析を実施し,簡易モデルの結果との比較により検証を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) 高温におけるガスケットの漏えい量は微量であるので,精度の高い漏えい量測定のためにはヘリウムリークディテクタを用いた実験が必要であり,この実験のための準備を進める。高温におけるガスケット特性試験を行い,ガスケット特性のデータ収集を行う。 (2) ヒーターによる加熱の可能な配管試験体を用いて,高温下で複合荷重を受けるフランジ締結体の漏えい特性を明らかにする。 (3) 漏えいを発生させないフランジ締結体の締付け管理方法を検討する。 (4) 研究成果を公表するとともに,フランジ締結体の締付け管理方法の規格化を検討する。 専攻科学生に実験補助を依頼し,以上の検討を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定であったCCD透過型デジタルレーザセンサは現時点で現有のものが使用可能であることから購入を見合わせたため,また有限要素解析ANSYSのライセンス料が校費から支出されたことから大きな差額が発生した。また,今年度は現有の試験装置により,改良を行ってきて,問題点を明らかにできたので,次年度に配分される助成金と合わせて,試験装置の改良のための予算として使用する計画である。
|