研究課題/領域番号 |
17K06136
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹島 敬志 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (10179632)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械要素 / 微流体操作 / 固気二相流 / 流体計測 |
研究実績の概要 |
サイクロンの出口管長さと円錐部長さについての設計指針の確立を目的として、集塵及び分級性能試験と壁面静圧変動の計測を行った。出口管長さ及び円錐部長さを変化させ、平均粒子径5μm(比重1.2)の球形粒子を用いて集塵及び分級性能試験を行った。また、壁面静圧の変動特性を計測し、LES流体解析より得られたサイクロン中心部における流速ベクトルの分布を壁面静圧の変動と比較し、解析の妥当性を詳細に検証するとともに静圧変動と旋回流れ中心の偏心との関連性について検討した。その結果、出口管を長く、または円錐部を長くして分級領域を広げることで集塵・分級性能が向上した。また、集塵性能の時間特性と圧力損失(動力性能)との関連性が見いだされ、サイクロンの運転時間による圧力損失の低下が小さいほど、高い集塵効率が保たれる傾向にあり、集塵性能の評価に圧力損失が評価材料となる可能性を見いだした。来年度はこれを詳細に検討する。また、壁面静圧変動と旋回中心の変動との関連性が見いだされ、壁面静圧変動でサイクロン内の旋回中心の偏心量を読み取ることができると考えられるが、来年度CFDよる流体解析の壁面静圧の変動等で詳細に検討していく。 予定していた単一傾斜熱線を用いた乱流計測は、熱線プローブの振動で測定精度が得られなかった。よって、来年度はCFDによる流体解析を用いて、直接出口管から流出する流れと出口管周辺の乱流特性を調べることにする。 今後の集塵・分級性能試験やPIV計測用に新たな小型サイクロン(処理量が標準サイズのサイクロンに対して16分の1程度)が必要となる。現在の実験ループ(処理量30m^3/min)では対応できないため、小型サイクロンの実験ループ製作用にルーツブロワ(アンレット 標準ベース真空セットBS50V)を購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた単一傾斜熱線を用いた乱流計測は、サイクロン中心付近の特に乱れが大きい部分で熱線プローブ保持棒が振動し、その振動が計測結果に含まれるという結果となった。保持棒の強くするなどの工夫を行ったが、入口流速が大きいため、微小振動を止めることはできなかった。それに伴って研究方針を一部変更し、CFDによる流体解析を用いて、直接出口管から流出する流れと出口管周辺の乱流特性について調べることにする。
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今後の研究の推進方策 |
小型サイクロン(処理量が標準サイズのサイクロンに対して16分の1程度)の実験ループの製作を行う。ルーツブロワ用吐出サイレンサ、流量計、フィルターユニット等を購入する。 集塵プラント用サイクロンの更なる高性能化を目指し、集塵性能の時間特性および壁面静圧の変動特性に着目して検討を行う。出口管長さ及び円錐部長さを変化させ、平均粒子径2.5μm(比重1.2)の球形粒子を用いて長時間(4時間)の集塵及び分級性能試験を行い、集塵性能の時間特性と圧力損失(動力性能)との関連性を詳細に検討する。また、壁面静圧の変動特性について、サイクロン入口流速の違いやサイクロン内の旋回中心の偏心量を変えた場合について計測し、静圧変動とサイクロン内の旋回中心の偏心との関連性を明確にし、静圧変動が集塵及び分級性能に及ぼす影響について検討する。並行してCFDによる流体解析による検討も行う。 文献等で、入口部内壁面から遠い中央部付近の粒子は、出口管から排出される粒子径がより小さくなる傾向にあるという報告がなされている。このことを検証するためにサイクロン入口で粒子の投入位置が変えられる入口部を製作し、流体解析による流れ場調査と集塵及び分級性能試験を行って、サイクロン入口部における粒子の投入位置が集塵及び分級性能に及ぼす影響について調査して、集塵プラント用サイクロンの入口形状の設計に利用できる指針を示すことを目標に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい実験ループの製作用に流量計等の購入を検討したが、金額が不足したため、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画に変更した。
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