研究課題/領域番号 |
17K06136
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
竹島 敬志 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (10179632)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械要素 / 微粉体操作 / 固気二相流 / 流体計測 |
研究実績の概要 |
サイクロンの小型化や入口形状によるサイクロン高性能化の検討 集塵プラント用サイクロンの更なる高性能化を目指し、小型化に着目して集塵及び分級性能の向上について検討を行った。一般に小型化すると、遠心力が大きくなるので、集塵及び分級性能は向上する。サイクロン円筒部の内径を200mmから100㎜に小型化した標準型サイクロンとそのサイクロン用実験ループを製作し、平均粒子径2.5μmと1.5μmの2種類のポリエチレン球形粒子(密度1200kg/m^3)を用いて集塵性能試験を行った。2時間連続運転における集塵性能試験の結果、集塵効率は2.5μmで99.7%、1.5μmで98.5%とほぼ100%に近い集塵効率が得られ、目標(1.0μm以上の固体粒子100%集塵)に近い結果を得ることができた。また、小型サイクロンの壁面静圧の変動特性も計測した。 サイクロン入口で粒子位置を変えられる新たな入口部を製作し、上述と同様の集塵性能試験を実施した。案内板付サイクロンは、粒子捕集の理論より、サイクロン内壁に粒子が近いほど捕集されやすいという考えをもとに考案した。案内板は、サイクロン上部の天板に外径64mm、内径56mmのパイプを取り付け、その下端に外径94mm、内径56mmの中空円板を取り付ける構造にした。供試粉体に関東ローム(1.0μmの含有率約30%)を用いて集塵性能試験を行った。その結果、集塵効率は標準型とほぼ同じになり、案内板を取り付けた入口形状では、期待した集塵性能の向上は見られなかったが、流動性能には向上が見られた。標準型サイクロンと案内板付サイクロンのCFDによる流体解析を比較し、集塵性能が向上しない要因について、流体解析の結果から考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
壁面静圧の変動とサイクロン内旋回中心の偏心との関連性を明確にして静圧変動が集塵及び分級性能に及ぼす影響についての検討を行っているが、圧力計の測定精度やCFDによる流体解析結果の蓄積に多くの時間を要するなどで十分な検討ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
サイクロン入口形状の集塵性能への影響について、CFDによる流体解析を用いて、集塵性能の向上が考えられる入口形状を決定し、その入口部の製作と昨年度と同様の集塵性能試験を行って高性能化を確認する。 また、サイクロン内部の流れ場と粒子の動きを推定するため、PIV解析を用いた計測を行う。PIV解析を用いた計測では、サイクロン円筒部内の流れ場と粒子の動きを可視化するために、サイクロンの測定面に適宜黒塗料を塗布したウォータージャケットを作成し、これを取り付けるための改良から行う。トレーサー粒子は集塵性能試験に利用したポリエチレン粒子を投入する。サイクロン内の流動状態はレーザーライトシートによって得られた散乱光をサイクロンに対して垂直に設置した高速度カメラにて撮影後、画像から流体画像計測ソフトを用いてサイクロン各部における粒子の動きの解析を行う。 サイクロンの出口管近傍及び円筒部入口について、CFDによる流動解析による流速分布の結果とPIV解析で得られた結果とを比較して、流体解析の精度を検証する。解析精度確認後にサイクロン内筒付近下降流の流動状態や中心部の上昇流及び下降流の流動状態から集塵及び分級性能向上に起因する流れの特徴について検討する。また出口管の入口部及び円筒部入口形状が分離・分級性能に与える影響についても詳細に調べ、設計に有用な知見を得るための調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入を予定していた高速演算対応PIVソフトウェア(Flow Expert 2D2C)は小型サイクロン実験ループ製作に経費が掛かり購入できなかった。PIVソフトウェア(Flow Expert 2D2C)は、学内にあるソフトウェアで対応する。これを壁面静圧変動のメカニズムを詳細に検討するための圧力計購入にあてる計画を立てたが、金額が不足したため、翌年度分として請求した助成金にあわせた使用計画に変更した。
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