研究課題/領域番号 |
17K06137
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
根岸 秀世 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (20568208)
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研究分担者 |
柴田 和也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30462873)
福澤 健二 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60324448)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グリース / 潤滑 / 非ニュートン流体 / MPS法 / CFD |
研究実績の概要 |
本研究は、グリース潤滑を用いた機械要素の長寿命化・低摩擦損失化設計確立を目的として、極少量グリース潤滑における機械要素内グリース挙動と油膜厚さ、そして摩擦損失の予測を可能とする数値解析技術の構築を行うことを目的としている。具体的には、グリースが有する非ビンガム塑性および高圧しゅう動における粘弾性特性を明らかにし、物理数学モデル化する。その上で、機械要素内のマクロな流体力学と高圧しゅう動部等のミクロ領域における弾性流体力学を統合した数値解析技術を構築する。合わせて検証実験も実施し、構築した手法の妥当性を確認する。 【検証実験】グリースミクロ挙動、特に表面張力としゅう動部流れ場の関係を明らかにするための検証実験案を検討した。次年度すぐに実施案を絞り込み、実験に取り組む予定である。 【数値解析手法構築】申請者はこれまでに構築した粒子法ソルバーに種々の高精度粒子法を導入し、初年度に実施したグリースダム崩壊実験の定量的な再現に成功した。また粒子法を流体潤滑の2大要素であるくさび膜と絞り膜問題に適用し、Reynolds方程式による数値解を概ね再現できることを確認した。更に転がり玉軸受の実形状に対してもMPS法を適用し、1600万粒子の大規模グリースマクロ挙動解析を試行して今後の課題を整理した。 東京大学柴田准教授は、これまでに構築した粒子法ソルバーに可変解像度手法を導入し、線接触流体潤滑問題についてReynolds方程式の圧力分布を定量的に再現するとともに、計算コストの低減に成功した。 【グリース物性モデル構築】名古屋大学福澤教授は、高圧しゅう動部におけるグリース粘弾性の計測を目的として、ファイバーウォブリング法による粘弾性計測手法を改良し、これによりグリース薄膜のずり粘弾性の計測データ取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【検証実験】 当初はグリースミクロ挙動の検証実験を実施する予定であったが、本年度は数値解析手法構築に注力して課題を整理した。これにより、今後行うべき検証実験の方向性を明確化し、実験案を具体化した。 【数値解析手法構築】 初年度に構築した粒子法ソルバーの改良と検証を進めることで、流体潤滑に係る種々の検証問題に対してその有効性を示すことができた。 【グリース物性モデル構築】 計画通りファイバーウォブリング法による粘弾性計測手法を改良した。
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今後の研究の推進方策 |
【検証実験】 ・グリースミクロ挙動に関する検証実験を実施し、現象理解と検証データ取得を実施する。 【数値解析手法構築】 ・これまでに構築した粒子法ベースの数値解析手法について、弾性流体潤滑も含めてグリースミクロ挙動の定量的な再現を目的とした改良と検証を進める。 【グリース物性モデル構築】 ・これまでに構築したファイバーウォブリング法による粘弾性計測手法によりグリース粘弾性データの取得および物理数学モデルの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたグリースミクロ挙動に係る検証実験について、実施を次年度に変更したため。
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