研究課題/領域番号 |
17K06138
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
船崎 健一 岩手大学, 理工学部, 教授 (00219081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ガスタービン / フィルム冷却 / 最適化 / 実験 / 数値解析 |
研究実績の概要 |
平成29年度の計画は下記の通りである。 (1)実験では,大型環状セクター風洞試験装置を製作するとともに,計測に不可欠なPSP/TSP光学計測手法の高精度化などに取り組む。(2)高密度比化を実現するための二次空気供給系の設置,トラバース装置の設置などを進める。(3)最適化に関しては,CFDを用いたロバスト最適化,多目的最適化の準備を進める。(3)数値解析では,LES解析に備えたRANS解析を展開する。 (1)(2)実験装置製作については、大型環状セクター風洞製作、大型トラバース装置製作及びPSP/TSP光学計測手法適用に必要な暗室環境整備を行った。また、高密度比化を実現するための二次空気供給系の設置も行った。(3)フィルム冷却の最適化については,過去の研究からCRVPと呼ばれる渦構造が冷却空気の被冷却領域への付着性を著しく低下させることであったことから,CRVPを抑制するために数多くの流れ場制御手法開発に取り組んだ。本研究では岩手大学が特許取得に成功した三次元形状の流れ制御デバイス(DFCD)を冷却孔上流に設置することでフィルム冷却における流れ場を制御し,フィルム冷却性能向上を図っている。DFCDはこれまでFunazaki2),3)らにより密度比DR=0.85の条件下における形状最適化や吹き出し比BR=1.0条件下における数値解析を使用した形状最適化が行なわれてきた。しかしガスタービン実機は高DR条件であり,高吹き出し比を作動条件とする冷却孔も多く存在することから,本条件下における形状最適化はガスタービン実機適用を目指す上では必須項目であるといえる。そこで本研究では,最適化評価指標に面平均フィルム冷却効率を選定し,数値解析による調査、実験的調査の両者から高密度比DR=1.53,高吹き出しBR=1.5条件下でのDFCD最適形状の導出及び最適形状の性能評価を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<1>研究実績の概要で示したように、平成29年度の研究計画の(1)~(4)を全て適切に実施していること。<2>RANSベースの数値解析及び実験を用いた最適化により、下記のような成果が得られたこと。1)要因効果図(評価指標:面平均フィルム効率)における比較では,数値解析及び実験結果から導出された各制御因子におけるSN比の傾向に高い一致性が見られ、フィルム効率のロバスト性に大きく寄与する因子が明らかになった。2)数値解析・実験ベースのタグチメソッドにおいて両者の予測した最適形状は一致しており,比較的高い精度の最適形態予測が可能であることが明らかになった。3)今回導出した最適形状Optimal01は,BR=1.5条件において高いフィルム冷却性能を示し,誤差要因として設定した流入角の変化に対しロバストな性能を発揮する形態であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、光学計測の設置・較正,標準条件,計測装置の設置,最適化・数値解析の準備,予備実験・解析に取り組む。具体的には、 (1)大型環状セクター風洞への光学計測機構の機能追加(2)PSP/TSP計測のin-site較正(3)標準条件(baseline)及び複数の主流乱れ条件時の翼列試験装置(デバイス無し翼使用)の空力・伝熱(フィルム効率,熱伝達率)性能計測(4)翼面用制御デバイスのロバスト最適化,多目的最適化の実施(RANS解析ベース)(5)翼列試験装置まわりでの流れ場解析(標準条件時のLES解析)(6)制御デバイス付翼の製作(7)標準条件(baseline)及び複数の主流乱れ時の翼列試験装置(デバイス付翼使用)の空力・伝熱(フィルム効率,熱伝達率)性能計測(8) 翼列試験装置まわりでの流れ場解析(主流乱れを付与した流動条件下でのLES解析) に取り組む。
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