研究課題/領域番号 |
17K06147
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
前川 博 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特命教授 (90145459)
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研究分担者 |
渡邊 大輔 富山大学, 学術研究部工学系, 講師 (70363033)
井上 洋平 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40397625)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際ワークショップ / 乱流遷移 |
研究実績の概要 |
国際ワークショップを電気通信大学において平成30年9月16日から22日に開催したことによって,研究者間相互に情報交換ができた.研究課題の乱流遷移に関しては,招待講演者のTamer Zaki教授の大規模シミュレーションによる非圧縮性乱流遷移境界層の特徴を,本研究課題である緩慢な遷移に関連付けれることが明らかになった.並列高速化プログラミングの手法を利用して,従来の4倍以上の計算領域とグリッド点数を使って,広範囲なレイノルズ数領域に発生する,主流乱れ由来の乱流遷移構造を研究した.その結果,ミラー対称性を持つ構造(Varicose)とAntiSymmetric構造(Sinouos)に関連した主要構造とその発達の様子が明らかになった.一方,構造の初生と発達の現象は,Phase-Diagram(位相図)で整理できることが分かった.また,位相図におけるアトラクターが代数多様体によって特徴づけられることも明らかになった.一方,実証実験結果は数値シミュレーションにおける乱流強度の比較を可能にして,乱流状態に到達したCross-flowーEnergyの内訳を見積もることが出来るようになった.その結果,層流状態から乱流遷移を経て乱流化する際に,Attached-Eddy構造が発生する乱流状態の間の物理的解釈が統一的にできるようになった.不安定多様体と安定多様体によって分離された位相図上にある分類法によって,非線形力学に由来する遷移過程を明らかにすることができた.流体力学的遷移の特徴が,熱浴にある1次相転移とも密接に関係することが概ね明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者の渡辺大輔講師(富山大学理工学研究部)の協力によって,超大規模シミュレーションが可能になる東京大学スパーコンピュータに適する並列高速化プログラミングが開発された.またシミュレーション結果を解析する数学的手法も開発されたため.計算結果の解析を行うとともに得られた物理現象の解釈説明に数学的手法を研究した.大規模シミュレーション結果が数学的予測値と概ね一致することが明らかになった.このため概ね順調に進展しているとした.
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今後の研究の推進方策 |
上記これまでの進捗状況で説明したように,研究成果は概ね順調に進展しており.数値計算結果を解析し研究成果としてまとめ,国際学術雑誌に投稿する原稿を作成することを主として行う.その際に,解析理論を一層深め,流体力学の数学を幾何化予想ともいえる数論や代数多様体との関係も研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学術論文誌に投稿した後,Editorからの通知で修正原稿を再投稿する状態にあり,論文採録が決定した場合に学術誌論文掲載料を支払う必要があったため,論文掲載料及び研究に必要な経費として使用する計画である.
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