本研究で考案した、他の進行物体からの影響を仮定の下で複数の流体現象に分離する定量的評価手法をブラフボディの分割部位にも適用し、各流体現象の影響について、より詳細に調査した。ここでは特に抗力に注目し、その抗力の応答特性が注目するブラフボディ側においてある程度制御可能と考えられる、他の進行物体による流向変化の影響に着目して、その影響による抗力変化が生じる箇所を中心に議論した。ボディ全体の抗力変化と類似な抗力成分の応答を示す部位としてボディ背面に注目し、一様な流向変化に対する抗力応答が異なるボディ形状を与えることで、他の進行物体が生じる非一様な流向変化に対する応答も変化することを確認した。このことにより、一様な流向変化に伴うボディ各部位の流体力応答を詳細に調査することで、近似的に他の進行物体による流向変化が生む影響を評価できる可能性を示した。 そして、上記の考え方に基づき、後流形態が変化することで生じる非線形な流体力応答の制御についても検討した。ここでは、一様な斜め接近流下で生じる流れ構造の遷移に伴った非線形な流体力応答の抑制技術である、ブラフボディ表面のスリットから壁面噴流を噴出するアクティブ流れ制御技術を用いて、流体力応答特性の改善を試みることとした数値解析による検討の結果、自動車後流を模擬可能な単純ブラフボディ(Ahmedモデル)において、側方を進行する他ボディからの影響を再現した解析上で、流れの制御効果を確認した。これにより、僅かな運動量の付加によって、空気力特性を望ましい状態に安定化させることができることが確認された。
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