研究課題/領域番号 |
17K06162
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
植木 弘信 長崎大学, 工学研究科, 教授 (30160154)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 混相流 / 液体微粒化 / ウエーバー数 / マッハ数 |
研究実績の概要 |
レーザー2焦点流速計(L2F)の光源として波長が赤外域の半導体レーザーを用いる場合、光学系の微調整に高度な技術が必要であり、再現性あるデータの取得に長時間を要する。本研究では、波長が可視域の半導体レーザーを光源に用いて、光学系を新たに設計・製作することとしていた。しかしながら、市販の半導体レーザーにおいて、その筐体の小型化と高出力化が進められており、このためにシングルモード半導体レーザーの発光領域が100マイクロメートルのオーダーに拡大されており、焦点をこのオーダーから縮小することが困難な状況となった。そこで、波長が赤外域であっても発光領域が1~3マイクロメートルである高出力の半導体レーザーを使用することとし、光学系の調整において可視のレーザーポインターを用いることとして、このためのジグを開発した。 液滴からの後方散乱光をアバランシェフォトダイオードによって電気信号に変換する信号増幅回路の動作安定化のために、電子回路基板を新たに設計・製作した。飛行時間により速度を求め、散乱時間により液滴サイズを求めるL2Fで、より高速の液滴を計測するには、飛行時間および散乱時間を計測するクロック周波数の増加が必要である。このために、信号処理系として用いるFPGA(Field Programmable Gate Array)をWindows 10で動作するよう更新するとともに、高速化に対応するVerilog HDLプログラムへの書き換えを行った。 液滴の分裂を支配するパラメータであるウエーバー数を変化させるため、さらに液滴分裂に及ぼすマッハ数の影響を明らかにするために、加圧された定容容器に超音速で液体を噴射して計測を行う計画である。このために、液体噴射ノズルを定容容器に取り付けるためのホルダとアダプタの設計・製作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、可視半導体レーザーを使用する計画であったが、発光領域が過大であり集光度が低下することが明らかとなった。そこで、可視のレーザーポインターを用いて光学系の調整を行うジグを開発し、光学系を高精度で調整するとともに、再現性のあるデータを取得する条件を整えた。次に、液滴からの後方散乱光をアバランシェフォトダイオードによって電気信号に変換する信号増幅回路の動作安定化のために、電子回路基板を新たに設計・製作した。また、信号処理系として用いるFPGA(Field Programmable Gate Array)をWindows 10で動作するよう更新するとともに、高速化に対応するVerilog HDLプログラムへの書き換えを行った。これらのことから当初の目標をほぼ達成したものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
実験パラメータの変化に伴う計測結果の変化を明確に捉えるには、計測システムの光学的SN比を高い状態に保つことが必須である。しかしながら、温度・湿度を一定に保つことができない通常の実験室での計測では、時間経過とともにレーザー流速計の光学系にずれが生じ、焦点における液滴からの散乱光を検出できなくなるため、データの再現性の検証に長時間を要する。そこで、光学系にずれが生じた場合の焦点の直径ならびにその位置の変化を光線追跡法によって明確にし、これに基づいて液滴の散乱光の検出量をデータベース化することを計画している。データベースと計測時の液滴からの散乱光強度との比較によって、光学系のずれを推定するとともに光学系の調整を行うことによって、計測時間の短縮化を図り、研究の推進を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、波長が可視域の半導体レーザーを用いて光学系を構成する予定であったが、発光領域が過大であることが判明した。このため、発光領域が1~3マイクロメートルの高出力赤外半導体レーザーを用いることに変更した。この変更によって助成金の使途も変更したことが、当該助成金が生じた理由である。 また、液滴の分裂を支配するパラメータであるウエーバー数を変化させるため、さらに液滴分裂に及ぼすマッハ数の影響を明らかにするために、次年度の実験準備として、加圧された定容容器に超音速で液体を噴射して計測を行う計画である。このために、液体噴射ノズルを定容容器に取り付けるためのホルダとアダプタの設計・製作を行った。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、新たに光学部品、電子回路部品、ならびに、信号処理部品を購入する計画である。
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