レーザー2焦点流速計(L2F)では、飛行時間と散乱時間の計測によって液滴の速度とサイズを算出する。信号処理を行うFPGA(Field Programmable Gate Array)におけるVerilog HDLプログラムを書き換え、クロック周波数を480MHzから700MHzに増加した。このことにより、計測精度が1.5倍に向上した。 ノズルへの供給圧力を最終年度に110MPaから最高で180MPaまで上昇させ、ベルヌーイ速度を650m/sとした。この場合のマッハ数は1.9に達する。ノズル噴孔から5mm下流の噴霧中心においてL2Fにより計測された液滴の最高速度はほぼベルヌーイ速度に近い値であったが、平均マッハ数は約1.6であった。液滴サイズのばらつき、ならびに、速度とサイズの正の相関のためと考えられる。 噴霧中心において、ノズルへの供給圧力を増加して噴霧平均マッハ数を高めることによって、ノズル噴孔から5mm下流の噴霧液滴の速度は増加した。また、液滴のサイズにおいても増大の傾向が見られた。マッハ数の増加によって液滴ウエーバー数が増加して液滴が分裂し、分裂で生じた小サイズ液滴が分散したため、噴霧中心に高速かつ大サイズ液滴が残ったものと考えられる。ノズル噴孔から5㎜と10mmの間の液滴サイズの変化は、噴霧中心では不明瞭であったが、半径外向きに0.1mmずれた位置では、高マッハ数の場合にその減少量が大きくなった。 噴霧周辺部において、ノズル噴孔から5㎜と10mmの間の液滴サイズの減少量は、高マッハ数の場合にその絶対値が大きくなった。分裂によって生じる小サイズ液滴が噴霧の周辺部に分散するため、高マッハ数噴霧における液滴分裂の結果は、噴霧周辺部で顕著に現れるものと判断された。
|