研究課題/領域番号 |
17K06165
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
片野田 洋 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (40336946)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超音速流 / ノズル / コールドスプレー |
研究実績の概要 |
静圧孔を軸方向に10個設けた末広部長さ200mmのステンレス製コールドスプレーノズルを用いて,赤外線カメラで撮影したノズル外表面温度から,コールドスプレーノズルの超音速内部流れの診断実験を行った.作動気体には常温の窒素ガスを用いた.鹿児島大学におけるこれまでの実験では,ノズルの貯気温度として大気温度を用いていた.しかし,実験を重ねた結果,常温の窒素ガスボンベから実験装置にガスを供給する場合,ジュールトムソン効果により貯気室の温度が時間とともに下がり,その温度低下が本測定手法の結果に与える誤差が無視できないことが分かった.そこで,貯気室に直径0.5mmのK型シース熱電対を挿入し,貯気室内壁にシース部が接することのないようにコル状に巻き,貯気温度をリアルタイムで測定できるようにした.ノズルの静圧と質量流量から断熱流れを仮定して計算した流れのマッハ数を正確な値とし,本手法により得られたマッハ数と比較した.その結果,平成28年度までの実験結果よりもマッハ数の測定精度が向上したことが分かった.ただし,本手法の測定精度は原理的にノズルの断面積に強く依存する.すなわち,現在はノズル内径が図面通りに加工されていることを前提条件としている.しかし,コールドスプレーノズルのように細長いノズルの内径を正確に測定する方法がないため,ノズルの流れ方向の断面積分布は正確には分からない.そこで,今後はコールドスプレーノズルの内径分布を測定する方法も検討することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノズル上流の貯気温度が時間的に変化することが分かったため,ノズル上流の貯気室にシース熱電対を挿入し,ジュールトムソン効果によりリアルタイムで変化する貯気温度を測定した.その貯気温度を本推算手法に用いることで,大気温度を貯気温度として用いる場合よりも正確な断面平均マッハ数が得られることが分かった.よって,本研究は概ね順調に推移しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究を通して明らかになったことは,コールドスプレーノズルの流れ方向の直径分布あるいは断面積分布を正確に測定しなければ,本研究法で提案している非接触計測法の診断精度を正しく評価できないことである.そこで,コールドスプレーノズルの内径分布または断面積分布を正確に測定する方法を検討する.内径分布または断面積分布の測定法として,機械接触式と流体式を検討する.
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