研究課題/領域番号 |
17K06169
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
彭 國義 日本大学, 工学部, 教授 (90295527)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウォータージェット / アブレシブサスペンションジェット / 水中切断 / 通気 / 混相流 / キャビテーション |
研究実績の概要 |
原子炉解体作業など水中構造物の切断に用いられる水中ウォータージェット工法を確立するため,気泡流被覆水中アブレシブ・サスペンション・ジェットの流れ構造および加工特性を調べる。本年度では,異なる噴流条件での通気鞘パイプ最適寸法を決定するため,3種類の通気リングを設けた鞘ヘッドを製作し,鞘内流れ構造の可視化観察およびジェット周りに形成された気泡クラウドと気層域の伸縮脈動特性の解析を行った。また,試作した通気ASJ の水中切断能力を検証するため,加圧通気の場合の水中切断実験を行い,修正キャビテーション数による相対切断深さの変化を調べた。その結果,以下の知見を得た。 (1)加圧通気によって修正キャビテーション数を0.01位低下させると,通気リングA(穴通気)を用いた場合は,気泡流に囲まれるジェットが形成されるが,リングBとリングC(隙間通気)を用いた場合は,ジェット周りに大きなキャビティが生成し,気層被覆水中ウォータージェットが形成される. (2)通気流量の増加に伴ってキャビテーション数が低下し,スタンドオフ距離 X = 26 mm においては,σ_c≒ 0.0005-0.0008 付近での水中切断深さは気中切断深さとほぼ同程度になる.しかし,X= 56 mm の場合,水中切断深さは最大になるが,気中切断深さには至らなかった.水中連続気層域の長さは L_c ≒ (20-30)d と推定される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度研究計画として,(1)通気鞘パイプ最適寸法の決定,(2)通気ASJの水中切断能力の検証と二つの内容を予定し,ほぼ予定通り実施した。通気鞘パイプ最適寸法の決定について,3種類の通気リングを設けた鞘ヘッドを製作し,鞘内流れ構造の可視化観察を行い,鞘通気口構造の影響を解明した.また,通気ASJの水中切断能力について,加圧通気による修正キャビテーション数と相対切断深さの変化を解明した.ただし,通気鞘の幾何パラメータが多く,より安定した連続的気層域を形成させるため,鞘出口形状の影響をさらに調べる必要があり,次年度で行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画・方法に沿って,来年度は,(1)鞘内流れの可視化観察により鞘出口構造の影響を調べ,異なる噴流条件における通気鞘の構造と最適寸法を検討する.(2)自然吸引および加圧空気による通気ASJの水中切断実験を行い,通気ASJの水中切断能力を評価し,通気鞘の形状と最適寸法を決定する.さらに,水中ASJの使用条件とその指標を検討する。 また,高圧噴射の場合,鞘内部および鞘出口近傍に気泡密集領域が形成され,その内部構造の観察が難しいので,ジェット噴射圧力を低減して可視化観察を行い,数値解析手法と連立して通気鞘の形状と寸法の最適化解析を進めていくと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部実験用品の加工は次年度に調整した。
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