研究課題/領域番号 |
17K06183
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡島 淳之介 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70610161)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 相変化伝熱 / マイクロチャネル / 冷却 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、高発熱密度を持つ電子デバイスの冷却や医療分野で求められている微小冷凍器などの実現を目指し、特にマイクロチャネル内の蒸気気泡の膨張現象とそれに伴う固体壁面上への液膜形成プロセスを明らかにし、高熱流束冷却を実現する機構について研究している。 平成30年度は実験を通じて液膜形成過程の評価を行った。高熱流束を付加することが可能なマイクロ流路内に、人工的に気泡を生成するためのマイクロヒーターを設置し、作動流体を水として実験を行った。マイクロヒーターの特性を実験的に評価し、微小な気泡が生成することを確認した。マイクロヒーターから発生した気泡が壁面からの加熱により膨張する過程を、高速度カメラにより観察し、気泡膨張により液膜が形成される過程と液膜が乾いた領域の大きさを計測した。既存の液膜形成理論を基に乾き面の大きさを推定し、実験と解析がよく合うことを確認した。それを基に乾き面の形成を阻害する気泡発生方法を検討した。 また、引き続きマイクロチャネル内の蒸気気泡の膨張現象を数値シミュレーションにより解析した。液膜形成現象を理解するために適した解析条件を考案し、その条件のもと、作動流体FC-72について種々の条件下で液膜形成過程を解析した。マイクロチャネルの直径を変化させ、現象が持つスケール性について評価した。直径が小さくなるにつれて、気泡膨張速度が相対的に増加し、結果として気泡先端形状が鋭くなることで、壁面との気液界面との間の伝熱が悪化することを示した。 また、国際共同研究の一環として、ミクロ液膜形成に関する数値シミュレーションに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定にあった「マイクロギャップ内での蒸発する液膜の挙動を解明する」については、実験装置を構築し、実験を行い液膜形成過程と乾き面の大きさの関連について評価できた。一方でミクロ液膜と接触線蒸発の遷移については実験的に評価することができなかったものの、それに関する数値シミュレーションに着手できたことから、進捗は十分である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載の内容の通り、2019年度はマイクロギャップ内の液膜の高熱流束冷却機構を明らかにすることを目標とする。また、2018年度に未達成であった液膜蒸発から接触線蒸発への遷移過程の解明を数値シミュレーションにより引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額であり、2018年度の請求額と合わせ、2019年度の研究遂行に使用する予定である。
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