本研究では、高発熱密度を持つ電子デバイスの冷却や医療分野で求められている微小冷凍器などの実現を目指し、特にマイクロチャネル内の蒸気気泡の膨張現象とそれに伴う固体壁面上への液膜形成プロセスを明らかにし、高熱流束冷却を実現する機構について検討を行った。マイクロチャネル内の蒸気気泡による液膜形成現象を理解するために適した解析条件を考案し、作動流体FC-72について解析した。解析結果より、(1)気泡先端近傍の液膜厚さは既存の経験式と同程度の値になること、(2)液相の過熱条件が大きい場合、気泡先端の移動速度が増加し液膜は厚くなり、固体壁の冷却への寄与が低下することを明らかにした。
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