研究課題
単層カーボンナノチューブは,優れた電気伝導特性,熱伝導特性および光学特性を有するが,これらは周囲環境の条件に大きく影響を受ける.これは,単層カーボンナノチューブが原子1層のグラフェンを丸めた構造であり,比表面積が非常に大きく,表面を通じて物性が強く変調をされてしまうからである.本研究課題では,様々な応用が検討され実現されつつある単層カーボンチューブに対し,実際の応用においてデバイスに組み込まれた際にどのような物性変調を受けているかを明らかにし,それを基礎とすることで単層カーボンナノチューブデバイス特性の向上を目指した.単層カーボンナノチューブデバイスの1つとして,電界効果型トランジスターを作製し,そのトランジスター特性計測(電流-電圧特性のゲート電圧依存性)を計測しながら,その場で光学計測が可能な小型環境制御型チャンバーの設計,構築に成功した.さらにこの小型環境制御型チャンバー内では,デバイス温度や周囲環境ガス雰囲気も制御可能である.さらに,単層カーボンナノチューブ特性に強く影響を与えることで知られる水分子の吸着脱離による物性への影響をレイリー散乱分光法を用いて検出することに成功した.他の単層カーボンナノチューブ分光計測手法と比較し,レイリー散乱はその強度が強いため,短時間の計測で十分なS/Nのスペクトルを得ることが可能であるため,リアルタイムでの単層カーボンナノチューブ物性変化をモニタリングすることに成功した.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://www.photon.t.u-tokyo.ac.jp/~chiashi/CV-E.html