現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝熱実験ではスピーカーを用いた脈動冷却流発生において装置の共鳴が原因と思われる問題が生じ,ストローハル数比1.0での脈動発生が行えていない.しかし,流速片振幅が1%以下と低い値であるもののストローハル数比0.33, 0.5, 0.8, 1.33での実験を行い,熱遮蔽冷却総合性能指標(正味熱流束低減率:NHFR)がストローハル数比0.8と1.33では向上することを確認した.一方,PTV計測実験ではストローハル数比(1.0, 1.33, 1.5)と流速片振幅(4~17%)を変化させての計測に加え,位相平均処理を前倒しで実施し,ストローハル数比1.33で位相平均した壁面垂直速度振幅が減少することが確認できた.さらに,LES解析では実験に先行して,ストローハル数比(0.8, 1.0, 1.5)と流速片振幅(1%, 5%, 10%)を系統的に変化させての計算を行い,ストローハル数比1.5,流速片振幅10%の場合にはNHFRにおいて5%の性能向上が確認された.また,ストローハル数比が1.0より小さい0.8で流速片振幅1%の場合でもNHFRにおいて2%の性能向上が確認された.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果から,平滑カットバック面での冷却流脈動化の効果がストローハル数比0.8, 1.33, 1.5で,また流速片振幅1%以下でも確認された.伝熱実験でのストローハル数比1.0の実現には装置としての共鳴周波数の変更が必要であるが,ストローハル数比1.0はフィルム冷却性能を低下させる条件であるのでその実施は必ずしも必須条件ではない.カットバック面にディンプルを敷設させた場合には冷却流脈動化の影響は主流・冷却流間の混合層にだけでなく,粗面壁上の脈動流として伝熱促進に寄与することが予想される.今後,平滑カットバック面での脈動冷却流の結果と比較しながら,ディンプル面を対象とした伝熱実験,PTV計測,LES解析を実施していく.
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