研究課題/領域番号 |
17K06191
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷川 雅人 金沢大学, 機械工学系, 助教 (40324107)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 伝熱促進 / 機能性粒子 |
研究実績の概要 |
本研究は,温度による体積の変化が顕著である感温性ゲルの微粒子を液中に分散させることにより,通常安定成層を形成する上部加熱・下部冷却系において粒子の浮沈によって生じる流動,あるいは粒子自身による熱輸送など,熱伝導と異なる熱輸送現象を発現させることを目的とし,感温性ゲル微粒子の作成方法の確立,周囲流体(高分子水溶液)の特性・適正条件の検討,微粒子運動・対流現象の観察・計測による運動特性の把握,温度計測による伝熱特性の検討を行う. 平成29年度は,単分散球形ゲル微粒子の形成を行った.注射針様の細管(内管)に主成分がN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)のゲル原料溶液を,およびその外部の数ミリ径の矩形管(外管)にシリコーンオイルを流し,後者によるせん断作用で一定間隔で分離するゲル液滴を生成した.生成した液滴がゲル化する前に他の液滴と合一して体積が増加し粒子径が多分散化するのを防ぐため,流路の途中からゲル溶液の過冷却解消温度よりも十分に低い温度となるように冷凍機を用いて流路を冷却し液滴を凍結させた.その結果,凍結前の液滴,重合後ゲル粒子のいずれも直径について標準偏差/平均値が10%未満である単分散となり,シリコーンオイルの流量,動粘度を調整することで平均径を0.5mmから1.3mmの間で変化させることが出来た.また,温度勾配を有する各種水溶液中におけるゲル粒子の挙動を観察したところ,高分子水溶液中でのみ反復的な浮沈運動を示した.その周期は数十分のオーダーで,振幅は時間とともに減少した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
考案した方法・装置により径の揃った粒子を作成することが可能となり,作成時に使用する流体の流量・粘度などの条件により平均径を調節できることを示した.高分子水溶液中での挙動の確認も実施し水溶液濃度など粒子の運動を生じさせる条件をある程度把握することができた.ただし,粒子の運動が持続可能となる諸条件の特定には至らず引き続き検討を要する.一方,次年度に予定していた複数種の水溶液の検討にも着手することができ,総じておおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
粒子の運動が持続可能となる径・空間サイズなど諸条件の特定について引き続き検討する.より大きな粒子を現状の装置で作成することが困難な場合は,球形型へのキャストによる方法の採用も検討する.粒子の運動中に他粒子や容器壁との付着が生じるため,粒子表面における付着防止層の形成を検討する.また,熱輸送特性の把握のため,水溶液温度分布や伝熱面における熱流束が測定可能な装置を作成し試験を行う.
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