本研究では,FAMEをメタセシス反応によって軽質化して,その蒸留特性を軽油に近づけるためのメタセシス反応条件におけるオレフィンの影響を実験的に明らかにして,FAMEの蒸留特性を任意に制御することを目的とした.実験では,クロスメタセシス反応に用いるオレフィンの炭素数,二重結合位置などの分子構造の影響や異種のオレフィンを混合使用した場合の影響,反応温度の影響などを調査した.得られた結果はおよそ以下の通りである. (1)二重結合が同じ1位のオレフィン:1-Pentene,1-Hexene,1-Heptene,1-Octene,1-Nonene,1-Decene,1-Undeceneを用いた場合,炭素数が小さい1-Penteneなどのオレフィンを反応させるほど,低沸点成分が多く生成され,炭素数が大きい1-Undeceneなどのオレフィンを反応させるほど,低沸点成分は生成されず,高沸点成分が大きく生成される. (2)反応温度を高めても,反応生成物の種類と生成量は影響を受けない (3)オレフィンの炭素数が同じであれば,二重結合位置が1位のオレフィンを用いた方が低沸点の成分を生成する. (4)二重結合位置が同じで炭素数が異なるオレフィンどうし混合して反応させた場合,両オレフィンを単体で用いた場合の中間的な組成を示す生成物が得られる.
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