研究課題/領域番号 |
17K06207
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
大竹 浩靖 工学院大学, 工学部, 教授 (40255609)
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研究分担者 |
長谷川 浩司 工学院大学, 工学部, 准教授 (90647918)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱伝達 / 沸騰 / クエンチ / 赤外線温度計 / 高速度ビデオカメラ / 金属結晶微粒子化 / MHF温度 / 過熱限界温度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、沸騰冷却分野の面より、次世代鉄鋼材料創製技術を構築するものである。すなわち、昨今広く利用できるようになったMEMS技術、赤外線サーモグラフィおよび高速度ビデオカメラを利用して、工業上頻繁に遭遇する高液サブクール度条件(液温約30℃以上)での、高温壁面上の濡れ開始瞬間の温度条件と局所濡れ域の熱流束(熱伝達率)の定量化と相関式化である。加えて、高液サブクール度条件での高い壁面温度条件での膜沸騰崩壊の物理的妥当性を有するモデルと同条件下の遷移沸騰熱伝達のモデルの構築も行う。 初年度の平成30年度は、透明サファイアを加熱面として、液ジェットによるクエンチ実験を行った。具体的には、600℃に加熱した透明サファイア伝熱面を直径3mmのノズルの水ノズルで冷却し、この時の冷却時の様相を、赤外線サーモグラフィ(温度計)および高速度ビデオカメラにて計測し、濡れ開始条件を直接定量化した。冷却方法は、液ノズルによるラミナー冷却であり、実験条件は、液サブクール度0~75Kである。 併せて、厚さ10mmのステンレス鋼加熱面によるクエンチ実験を行った。この実験では、実機を想定して、液膜流による冷却とした。実験条件は、同じく、液サブクール度0~75Kである。 この結果、(1) 液サブクール度が及ぼすMHF点温度への依存性は、各液流速ともDhir-Purohitの式が与える値と液サブクール度20 Kまでは定性的に一致する、(2) よどみ点付近の液膜先端温度はサブクール度が高くなるほど上昇し、液膜進展が進むにつれて液膜先端温度が低下し最終的には100 ℃に収束する、(3) よどみ点での初期の固液接触開始温度は、約400℃である、(4) 濡れ進展速度は、既存の山内の式で表現できる、ことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に、透明サファイアを加熱面として、液ジェットによるクエンチ実験、すなわち、赤外線サーモグラフィ(温度計)および高速度ビデオカメラにて計測し、濡れ開始条件を直接定量化を行ったことで、高温壁面上の濡れ開始瞬間の温度条件を直接定量化した。 また、実機に近い、厚さ10mmのステンレス鋼加熱面によるクエンチ実験装置を作製し、様々な条件の実験を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後とも、透明サファイアを加熱面として、液ジェットによるクエンチ実験、すなわち、赤外線サーモグラフィ(温度計)および高速度ビデオカメラにて計測し、濡れ開始条件を直接定量化を行う。また、実機に近い、厚さ10mmのステンレス鋼加熱面によるクエンチ実験装置より、様々な条件の実験を行う。特に、実機で想定される、液温の低い、高液サブクール度の実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、設備備品費(高速度ビデオカメラ)の購入に充てることを計画した。当該製品で、より高性能新製品を選ぶことで、購入時期が2018年1月となった。よって、他の消耗品物品等の購入の支出に至らず、次年度使用額が生じた。次年度への使用計画は、今年度の使途しなかった消耗品物品を充てる予定である。
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